フジテレビの社長らがフジ関係者の女性が受けた被害について適切に対処できなかったとして辞任。その直後、Xでは「」というタグにセクハラの告発が殺到した。ライターの田幸和歌子さんは「このタグを作った人と投稿した人に話を聞いた。どちらも今の社会でセクハラや性加害が表沙汰にならず、加害者が罰せられないことに強い憤りを感じていた」という――。 ■「」に6万7000件の投稿 「#私が退職した本当の理由」というハッシュタグをつけて、女性達が自身の退職のきっかけになった職場でのセクハラや性暴力、性差別などを次々にSNSで告発するムーブメントが起きている。2月2日時点で投稿件数は6万7000件超となり、SNSトレンドにランクイン。2月半ばの今も女性達からの告発の投稿は続いている。 例えば、新卒でソフトバンクに入社、営業に配属されたという女性は、社内からも取引先からも容姿をジャッジされ、「今年の新人はかわいくないだとか美人じゃないだとか」と言われた経験を告白。これには22万5000件以上の「いいね」がつき、同様の経験をした女性達からの共感と怒りの声が噴き上がった。 他にも「女性はホステス扱い、ホテル連れ込み、産めハラなどは当たり前」「契約くれるなら胸のひとつやふたつ喜んで揉ませなさいよと言われた」「彼氏がいると知ったとたん無視された」「トイレ掃除は女性だけの仕事」「同じ職場で結婚すると女性だけが退職させられた」などなど、その内容は多種多様。なかには具体的な会社名を明かす投稿もある。 ■メガバンクに入行し、メンターからのセクハラで退職した女性 そうした中でも生々しい被害内容で注目されたのが、上司からのストーカーまがいのセクハラをLINEのやりとりのスクリーンショットも添えてポストした20代の「匿名」さん。投稿の理由についてこう語る。 「たまたまタイムラインに『#私が退職した本当の理由』というタグをつけた投稿が流れてきて、自分がメガバンク勤務時代、部長に退職の理由を伝えた日のことを思い出しました。私は表向きには『自分のやりたいことが見つかったから』というポジティブな理由を伝えましたが、実は上司のセクハラによって適応障害を発症してしまったんです」 匿名さんは2020年に厳しい就職戦線を経て新卒で入行、1年目は3〜5年目くらいの行員の女性が指導員としてついたが、2年目に30代半ばの男性Aさんがメンターとしてつくことになった。Aさんは既婚者。バリバリの体育会系で、営業成績が良く、匿名さんはその仕事ぶりを尊敬し、勉強させてもらいたいと思っていた。 だが、半年ほど経った頃にAさんに飲みに誘われ、飲みに行くと、帰り道にベタベタされ、好意を打ち明けられた。そこから飲みの誘いを避けるようになると、「お前、俺のこと嫌いなんか」といったLINEが送られてきて、以降、執拗なLINE攻撃が続いたという。