警視庁の逮捕は「違法」、大麻捜査で東京都に賠償命じる 東京地裁

大麻を所持したとして警視庁に現行犯逮捕された女性が「違法な捜査だった」として、東京都に賠償を求めた訴訟で、東京地裁(平井直也裁判長)は17日、逮捕とその後の留置が違法だったと認め、33万円の賠償を都に命じる判決を言い渡した。 都を訴えたのは、アーティストとして音楽活動などをする田村なみちえさん(27)。 複数の警察官は2021年、都内の駐車場で田村さんを職務質問し、車から葉片2本の入った瓶を見つけた。その場で簡易検査を行い葉片を大麻だと判断し、大麻取締法違反(所持)の疑いで田村さんを現行犯逮捕した。 逮捕後の尿検査で陰性だった田村さんは約2週間勾留され、東京地検は不起訴とした。 判決は、簡易検査の結果について、陽性と判定する基準の「紫色~青紫色」とは異なる「青色」だったと指摘。検査過程に正しい手順といえない部分があったとしたうえで、警察官らが大麻と判断したのは「正当ではなかった」と判断した。 ■「逮捕の要件欠く」 都側は逮捕理由について、葉片から大麻特有の臭いがした点などを挙げたが、判決は、簡易検査で陽性でなかったことを補っていないと説明。「犯罪の明白性が認められず逮捕の要件を欠く」とし、逮捕と留置は違法だった、と結論づけた。 そのうえで「田村さんの芸能活動に一定の制約を生じさせた」として慰謝料などの支払いを都に命じた。 田村さんは取材に、代理人弁護士を通じて「逮捕・勾留され、精神的に追い込まれ、長期間仕事ができない状態だった。(判決については)ひとまず安心している」とコメントした。(米田優人)

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