SNSで誤情報拡散、誹謗中傷はなぜ起きる?「いいね」の前にすべきこと

SNSの普及に伴って、著名人に関する虚偽の事実や誹謗(ひぼう)中傷などが書かれた投稿が発信・拡散され、問題化するケースが後を絶ちません。SNSは手軽に情報を共有できる便利なサービスですが、自分の投稿が思いがけないトラブルを招く恐れがあることも心に留めておいた方がよさそうです。SNSリスクコンサルタントの井ノ口樹さんに、利用者がトラブルの“加害者”にならないよう気をつけるべきことを教えてもらいました。 SNSでは、元タレント中居正広さんの女性トラブルを巡って、関与したとされる人物や被害者を臆測したり、真偽不明の書き込みをしたりする投稿が目立つように。 先頃は、「テレビ局のプロデューサーに枕営業をしている」という情報を拡散された女性タレントが、自身のYouTubeチャンネルでそれを否定、視聴者に「うその情報に流されないようにしてください」と訴えかけました。 昨年11月には、活動休止中の人気アイドルグループのメンバーが大麻取締法違反で逮捕されたという情報がSNSで拡散。グループとエージェント契約を結んでいる芸能事務所は、その情報を全面否定するとともに、通信会社に対して先月、誤った情報を投稿した人物の情報開示請求を行っています。 井ノ口さんによると、SNSで誤情報を発信する人には、「一から話をでっち上げて投稿する人」と、「真偽不明の情報を『どこかで聞いた話』として投稿する人」がいるといいます。発信の目的はどちらにせよ、「過剰な表現で閲覧数を増やして収益を得ようとしているか、または自分が注目されることで自己承認欲求を満たそうとしているのではないか」と推測します。 今回の中居さんの問題のような社会的関心の高い出来事があると、関係のない過去の出来事を持ち出して、無理やり話を結びつけて発信する人も。「そのようにして作られた情報は一見もっともらしいため、第三者によってどんどん拡散されてしまう」と、井ノ口さんは説明します。 SNSプラットフォームの事業者である「Google(YouTube)」、「X」、「Meta(Facebook、Instagram)」、「ByteDance(TikTok)」はそれぞれ、投稿内容を審査する基本的指針となるSNSポリシーをホームページ上に公開しています。しかし、SNSポリシーには、誤情報の投稿に関する記載はありません。「能登半島地震が起きた時、利用者が虚偽の救助要請投稿を、善意で拡散させてしまったことがありました。投稿された情報が事実か否かを的確に判断するのは、利用者はもちろん事業者にとっても難しいのです」と井ノ口さん。 誤情報の投稿を拡散させないためには、出所の分からない情報は信用しないこと。そのような情報が書かれた投稿には「いいね」やリポストをしないこと。さらに、井ノ口さんは「投稿者の過去の投稿内容をチェックして、極端な思考に傾倒し、感情的に対立をあおるような投稿やリポストを繰り返しているアカウントであれば、近寄らないようにしてほしい」と注意を促します。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加