逮捕され警察署に入る男たちは、いずれも護送車の後部座席で顔を伏せていた。風俗スカウトグループ『アクセス』のメンバーである。 警視庁保安課は2月20日までに、職業安定法違反(有害業務紹介)の疑いで『アクセス』のリーダー遠藤和真容疑者(33)らメンバー4人を逮捕した。『アクセス』は構成員300人ほどをようする巨大スカウトグループ。’19年ごろから全国約350の風俗店へ、若い女性を斡旋していたとされる。 「逮捕容疑の事件は、昨年8月と10月に起きました。遠藤容疑者らは石川県加賀市と埼玉県川口市の風俗店へ、いずれも20代の女性を紹介。店舗内で売春の場所を提供したとされるんです。また、岐阜県岐阜市の風俗店経営者も売春防止法違反で同時に逮捕されています。昨年7月から10月にかけ、『アクセス』から女性を20人ほど斡旋されたようです。 『アクセス』は、46都道府県の風俗店に女性を紹介していたことがわかっています。稼ぎの多いスカウトだと、1ヵ月の収入が600万円を超えていたとか。『アクセス』は国税に目をつけられるのを恐れ、スカウトへの報酬の一部を手渡しにしたり、架空の会社の私書箱にレターバックで送っていたそうです。警察の調べに対し逮捕されたスカウトや風俗店経営者は、いずれも『間違いありません』と犯行を認めています」(全国紙社会部記者) ◆警察が摘発に本腰を入れたワケ 『アクセス』は、新人や経験の浅いスカウトのために〈警察逮捕案件〉マニュアルを作成していたという。 「警視庁保安課によると、マニュアルでは逮捕されやすい要因として以下のような事例が紹介されているそうです。〈未成年少女の斡旋〉〈ホストクラブでカネを使い込ませ追い込む行為〉〈仕事の強要〉〈薬物使用〉など。さらに、実際にスカウトが摘発されたインターネット上の記事を掲載。グループ内のSNSで情報を共有していました」(同前) 神奈川県警の元刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏が、巨大風俗スカウトグループ摘発の背景を解説する。 「警察は特別捜査本部を設置し、風俗スカウトグループの摘発に本腰を入れています。これまでは店にカネを払えず困窮した女性を紹介するホストや、女性を斡旋するスカウトを個別に逮捕していました。しかし、それでは女性が風俗店で働かされる一連の流れを根絶できません。 今回は女性を紹介された風俗店経営者まで逮捕されています。風俗犯罪には多くの人間が関与しています。カネに困った女性の情報を利用する悪質なホスト、そうした女性を全国に斡旋するスカウト、売春目的で女性を働かせる風俗店……。警察は、女性が風俗の世界から出られなくなるようなシステムを一網打尽にしようとしているのでしょう。スカウトグループが作ったマニュアルは、本腰を入れた警察に対する焦りの表れともとれます」 風俗事件に関する逮捕者は、全国に広がりつつある。