尹氏、戒厳の正当性強調 罷免の可否、3月中旬にも 弾劾審判が結審・韓国憲法裁

【ソウル時事】韓国の尹錫悦大統領による「非常戒厳」宣言に関し、憲法裁判所は25日、尹氏罷免の可否を決める弾劾審判の最終弁論を開き、結審した。 2024年12月の宣言に重大な違憲・違法性があったと認定するかが焦点で、3月中旬にも決定を出すとみられている。出廷した尹氏は宣言の正当性を改めて強調し、職務に復帰すれば「残りの任期は憲法改正と政治改革に集中する」と表明した。 憲法裁判事8人による評決で、6人が弾劾を妥当と判断すれば尹氏は罷免され、60日以内に大統領選が行われる。弾劾訴追が棄却や却下されれば尹氏は職務に復帰する。 尹氏は25日の最終陳述で、戒厳について「国が亡国的状況にあることを宣言し、国民にこれを直視して克服するよう呼び掛ける切迫した訴えだった」と強調。判事に職務復帰を認めるよう求めた。復帰後の改憲にも言及し、実現すれば5年の自身の任期に「こだわらない」と語った。韓国メディアは、任期を短縮して再選を可能とする改憲を念頭に置いているとの見方を伝えた。 一方、国会の訴追団側は憲法が戒厳宣言の要件と定める「戦時・事変またはこれに準ずる国家非常事態」は存在しなかったと主張。議長の許可なく警察に国会を封鎖させ、議事堂に兵士を侵入させて戒厳解除の決議阻止を図ったと批判した。「憲法を破壊し、民主共和国を転覆する行為だ」として尹氏の罷免を求めた。 1月に始まった弁論では、閣僚経験者のほか軍や警察の元幹部ら16人が証言台に立った。「戒厳宣言の要件や手続きを巡る違憲・違法性」「国会の戒厳解除の決議を妨害する意図の有無」「政治家逮捕の指示の有無」といった争点で尋問が行われ、見解は真っ向から対立している。 戒厳直前に5分間開かれた閣僚会議の適法性を巡っては、韓悳洙首相が「通常の閣議とは異なり、形式的また実質的な欠陥があった」と証言。一方、李祥敏前行政安全相は「出席者は閣議と理解していた」と説明した。 憲法裁の決定には世論の動向も影響するとされ、「韓国ギャラップ」が21日に発表した世論調査結果では、尹氏の弾劾(罷免)への賛成は60%、反対は34%だった。

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