■把握できていない「過酷な事件」 山形県の山形地方裁判所で行われている衝撃的な児童虐待裁判。明かされた内容は、あまりに過酷なものだった。虐待を受けた子どもはどうなるのか。保護されるまでの仕組みを聞いてみると、課題があることがわかった。 「通告はどなたでもできます」 県の担当者はこう話す。 山形県でも児童虐待の通告は日々行われている。疑いがあれば県に通報があり、それが「通告」という扱いに。通告を受けると児童相談所が「調査」をし、虐待と「認定」されると保護の対象にもなる。 しかし話を聞くと、今回のように裁判になっている事案を、県が把握する仕組みがないようなのだ。 一般から情報が寄せられる仕組みはあるが、警察とはリンクしていない。・・・警察が動く過酷な事件こそ把握してほしいのだが。 この裁判を把握できていないのは残念。問題の裁判をふり返ってみたい。 ■2月19日の裁判 こんなSOSを出している子どもが、近くにいるかもしれない。そう思わずにはいられない事件です。 日本列島を寒波が襲った2月19日。初公判が開かれた山形市は、青空が広がっていました。 山形地方裁判所の法廷に姿を現したのは、細身で身長が高めの男。 この男が問われている罪は、不同意性交。相手は、未成年の実の娘でした。 (※本記事は性犯罪についての記述があります。また、一部詳細を控え記載している部分があります) 不同意性交の罪に問われているのは、山形県内に住む被告の男です。 検察などによりますと、男は去年9月、相手が16歳未満と知りながら、みだらな行為に及んだとされています。 裁判で被告の男は、起訴内容について問われると、「間違いありません」と認めました。弁護側も事実関係について争わないとしています。 被害者は、男の実の娘でした。 ■相手は実の娘 裁判は被害者に配慮するため、個人の特定にはつながらないよう、実名などの読み上げを避けて進められました。 上下スウェット姿にマスクをして入廷した男は、静かに検察官の冒頭陳述を聞いていきます。 そこでは、およそ3年に及ぶ男の犯行が語られました。