8年前の朴大統領弾劾と重なる争点ある…当時の憲法裁に見る尹大統領の運命

史上3度目の大統領弾劾審判事件を審理中の憲法裁判所が最後の長考の時間を続けている。憲法裁は尹大統領の昨年の非常戒厳宣言前後の一連の行為が▼憲法・法律違反か▼罷免するほど重大かを慎重に問いただして判断した後に結論を出すことになる。 8年前の崔順実(チェ・スンシル、現在チェ・ソウォンに改名)国政壟断疑惑が触発した朴槿恵(パク・クネ)大統領弾劾事件と、12・3非常戒厳が憲政秩序を破壊する内乱かどうかが争点である尹大統領弾劾事件は、争点自体がかなり違う。しかし双方ともに「国会の弾劾訴追自体に手続き的な違法がある」「たとえ憲法・法律違反があっても罷免するほど重大ではない」という点を争うのは共通している。2004年の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領事件でも同じように争った内容が一部ある。2017年の朴槿恵大統領罷免決定文、2004年の盧武鉉大統領棄却決定文にみられる憲法裁の判断を振り返ってみた。 ◆手続き関連の多数の争点、過去の憲法裁はほとんど棄却 尹大統領側のいくつかの手続き的欠陥主張のうち「国会が法制司法委員会などの十分な調査、審査手続きなく弾劾訴追したのは違法だ」という主張は、朴槿恵・盧武鉉両大統領の事件でも同じく提起されたが、ともに棄却された。憲法裁は盧大統領の事件で「国会は国民を代表する立法機関であり幅広い自立権を持つ」と見なした。そして「弾劾訴追前に十分な調査をするのが望ましいが、これは国会の裁量であり、調査をしなかったとしても憲法・法律違反と見ることはできない」とした。2017年の朴大統領罷免決定当時にもこれをそのまま引用した。盧・朴大統領側はともに「討論なく弾劾訴追議決をしたのは不適法」で主張したが、憲法裁は「表決前に必ず討論をしなければならないという明文規定はなく、本会議で討論を希望した人員がなく、故意に討論を妨害した事実がないので受け入れない」とした。 ◆訴追事由の分類は◯、追加はX 尹大統領側は国会側の「刑法上内乱罪排除」訴追事由の変更も問題にする。2017年の決定文のうち「国会が弾劾審判を請求した後、別途の議決手続きなく訴追事由を追加したり既存の訴追事由と『同一性が認められない程度』に訴追事由を変更することは許容されない」という部分を引用しながらだ。 憲法裁は2017年の訴追当時、5件だった争点を4件に縮小したことについて「既存の訴追事由と同一性が認められない程度の変更は許されない」としながらも「既存の訴追事由を分類して争点化したことに双方が同意したが、後に問題提起」とし、再分類したのは問題がないと判断した。ただ、盧大統領の事件で「私が検察を叩こうとすれば徹底的に攻撃できたが、そうしなかった」などの発言に対し、憲法裁は「訴追議決書に含まれず事後的に追加されたものであるため判断しない」と明らかにするなど、訴追事由の追加は認めなかった。 尹大統領の弾劾事件が進行しながら場外で見られる「馬恩赫(マ・ウンヒョク)裁判官任命論争」とつながる内容も2017年の決定文に含まれている。当時の朴漢徹(パク・ハンチョル)憲法裁長の退任後、8人の裁判官体制で弾劾審判が進行された中、朴大統領側は「8人の裁判所が弾劾の結論を出すのは、9人の裁判官から裁判を受ける権利を侵害する」という主張をした。これに対し憲法裁は「9人の裁判所での裁判が原則ではあるが、現実的にさまざまな理由で一部の裁判官が参加できない場合が発生する」とし「欠員状態である1人の裁判官は事実上弾劾に賛成しない意見を表明したのと同じ結果であり、むしろ被請求人に有利であるため、権限侵害と見るのは難しい」として受け入れなかった。 ◆朴大統領の談話、憲法裁は「誠意ない謝罪、憲法守護の意志ない」 尹大統領は昨年の非常戒厳後、3回の国民向け談話および憲法裁公開弁論などで「国民に不便を及ぼした点」に関してのみ申し訳ないと述べた。「国憲紊乱の目的はなく、大統領の立場で必要だと判断して宣言した警告性の戒厳」とし、戒厳宣言自体は正当だったと抗弁しながらだ。逮捕状執行、大統領室家宅捜索など捜査に抵抗しながら拘束起訴後にも「本人に対する捜査は違法だ」という立場を守っている。 憲法裁は2017年、崔順実国政介入に関する朴大統領の2回の国民向け談話について「国民に謝ったが、その内容が客観的事実と一致せず誠意が不足している」とし「2回目の談話で真相究明に協力するといったが、その後、検察・特検の捜査および家宅捜索にも応じなかった」と指摘した。そして「信頼回復の努力ではなく国民を相手に誠意のない謝罪をし、国民にした約束も守らず、このような言動をみると被請求人の憲法守護意志が明確に表れていない」とした。 大統領を罷免するには「国民が選挙で付与した民主的正当性を剥奪するほど重大な法違反」がなければならないという実務的な基準は、2004年の盧武鉉大統領弾劾決定文で初めて提示され、その後、朴槿恵大統領弾劾決定で再確認された。ここには「民主主義の原理を構成する憲法上の基本原則を積極的に違反しようとしたか」に対する判断も含まれる。 盧武鉉大統領は大統領の憲法守護義務違反など弾劾訴追事由4件のうち2件が違憲・違法と認められたが、「憲法秩序に逆行しようという積極的な意思を認めることはできない」とし、請求が棄却されて職を維持した。半面、朴槿恵大統領は当時の弾劾訴追事由の4類型のうち「私人の国政介入許容および大統領権限乱用」が認められたが、その程度が重大だとして罷免された。

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