ウクライナの“戦後”見据えた動き加速? ゼレンスキー大統領が開戦3年を前にわざわざ中東へ 一体なんのため?

ウクライナのウォロドディミル・ゼレンスキー大統領は2025年2月16日、UAE(アラブ首長国連邦)の首都アブダビを訪問しました。ロシアがウクライナに侵攻してから24日でまる3年という時期に、なぜわざわざUAEを訪れたのでしょうか。 ゼレンスキー大統領は戦争開始後にスウェーデンやアメリカなどを訪問していますが、ウクライナから移動に時間がかかる日本での議会演説はオンラインで実施。また2024年5月にはロシア軍の攻勢が強まったことを受けてスペインとポルトガルへの訪問を中止するなど、国外訪問は容易なことではありません。 にもかかわらずゼレンスキー大統領がアブダビを訪問したのは、「戦後」復興のために兵器ビジネスを再活性化させるねらいもあったものと筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)は思います。 ゼレンスキー大統領のアブダビ訪問のニュースを聞いた筆者は、2015(平成27)年の2月にアブダビを訪問した際、当時のスーダン大統領で、独裁者としての悪名が高かったオマル・アル=バシール氏を目撃したことを思い出しました。 当時バシール氏はダルフール紛争における大量虐殺に関与した容疑で、国際刑事裁判所から逮捕状が発出されていました。UAEは国際刑事裁判所を有効たらしめるローマ条約を批准していないので、アブダビで逮捕されるおそれはなかったのですが、当時71歳と決して若くはなかったバシール氏が、スーダンから長時間移動してアブダビへやってきたのは何故なのだろう?と思いました。 アブダビでは数年に1度、2月に世界的な兵器備展示会「IDEX」を開催しています。筆者が2015年2月にアブダビを訪問したのはこの「IDEX2015」を取材するためだったのですが、その開会式でVIPブースに座るバシール氏の姿と、展示会場のスーダンの展示ブースを見て、すべての疑問が解消しました。 当時のスーダンは工業化を進めており、中国から支援を受けて兵器の国内生産と輸出に積極的に取り組んでいました。このためスーダンの展示ブースは前回のIDEXに比べて大幅に拡充されており、バシール氏は出展企業の激励と国際的アピールのために、遠路はるばるUAEまでやって来たというわけです。

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