北海道旭川市で、女子高校生を橋から転落させ殺害した罪に問われている当時19歳の女の被告の裁判員裁判で、検察は懲役25年を求刑し結審しました。最後に、証言台に立った被告は、「自分のしたことが軽くなると願って話したわけではありません。どんな判決でも覚悟はできています」と涙ながらに話しました。 起訴状などによりますと、旭川市の無職の当時19歳だった被告は、2024年4月、内田梨瑚被告(22)と共謀して、女子高校生を車で連れ去り、旭川郊外の橋から転落させて殺害した罪などに問われています。 2月27日の初公判で、当時19歳の被告は起訴内容を認めましたが、弁護側は「大半は内田被告からの指示だった」として情状酌量を求めていました。 5日午前10時半から開かれた裁判で、検察は「犯行は、被害者の人格の尊厳を踏みにじるもので、内田被告と同程度の必要不可欠な役割を果たした」と指摘し、当時19歳の被告に対して懲役25年を求刑しました。 また、被害者家族の代理人からは、量刑に対する意見が述べられ、当時19歳の被告はうつむきながらきいていました。 ■被害者家族の代理人による量刑に対する意見 検察が述べたとおり、本件犯行態様が残忍で悪質、動機に酌むべき事情はない。 当時17歳の高校生の被害者が被告人から度重なる暴行を受け、約5℃という寒冷な状況で、全裸にさせられ橋から落とされ死亡するという、極めて残忍酷薄で最悪な被害結果が生じた。 親族は、被害者が帰宅せず絶望に押しつぶされそうになりながら、「帰ってきてほしい」と願いながら捜索を続けた。 絶望の状況の中、「ただ生きていてほしい」と願った。 しかし、被害者は身体が損傷した状態で発見され、親族は顔も見ることも肌に触れることもできなかった。 当時19歳の被告人が早期に通報していれば、顔を見ることも肌に触れることもできたかもしれない。 被告人は、1日の大半を勉強に費やしているとのことだが、逮捕されてから10か月間、十分に考える時間はあるにもかかわらず、どのような行動が償いになるか具体的行為は示されていない。 被害者は子どもが大好きで、保育士を夢見て、事件翌日も友達と札幌の専門学校のオープンキャンパスに行く約束をしていた。 保育士になるのが夢だった被害者の命を絶たれたのも事実。 被害者の父母は、被害者のいない生活を受け入れられていない。 被告人が、被害者遺族の心情を把握しているのか、公判では、手紙や謝罪の言葉もあったが、到底受け入れられない。 被告人も若年だが、さらに若い命が奪われた。 被告人に対し同じ思いをさせたい、極刑を望むことは、父母としてやむを得ない。 遺族の心情を十分に考慮し、可能な限り、厳しい刑罰を求める。 ■当時19歳の被告は涙ながらに…「私に下された刑に従います。どんな判決でも覚悟はできています」 最後に証言台に立った当時19歳の被告。 裁判長をまっすぐに見つめ、涙ながらにこう語りました。 当時19歳の被告(20) 「この法廷では、あの日起きた本当の真実を話しただけで、自分のしたことが軽くなると願って話したわけではありません。私は私に下された刑に従います。どんな判決でも覚悟はできています」 裁判は、5日結審し、判決は、あさって7日に言い渡されます。