裁判長) 「被告人を懲役23年に処する」。 殺人などの罪に問われた当時19歳の女に注目の判決が言い渡されました。 去年4月、旭川市の神居古潭で当時17歳の女子高校生が橋から落とされ殺害された事件。殺人と不同意わいせつ致死、監禁の3つの罪に問われているのは内田梨瑚被告とその知人の当時19歳の女です。 2人は女子高校生を車に乗せて監禁し、集団で暴行を加えるなどしたあと、橋の欄干に座らせ「落ちろ」「死ねや」などと脅して転落させ殺害したとされています。 先週木曜日から始まった当時19歳の女の裁判員裁判。検察側は「女の責任は内田被告と大きく異なるわけではなく、犯行において必要不可欠な役割を果たした」と指摘し懲役25年を求刑。一方、弁護側は客観的な事実については争わず「従属的な立場だった」として懲役15年を求めていて、その量刑が争点となっていました。 永山友菜記者) 「きょう旭川地裁で判決が言い渡されます。裁判の行方を見守ろうと多くの人が傍聴券を求めて行列を作っています」。 一般傍聴席25席に対しこれまでの裁判で最も多い203人が傍聴券を求めて列を作りました。 そして午後3時から始まった判決公判。 永山友菜記者) 「被告の女は判決が言い渡された際、裁判長をまっすぐ向いていましたが、時折肩を震わせながら両手で涙をぬぐうような様子もありました」。 裁判長) 「犯行態様は残酷で極めて悪質である。被告人が一連の犯行に主体的に関与したことは明らかである」。 旭川地裁の小笠原義泰裁判長はこのように話し、女に懲役23年の判決を言い渡しました。 裁判で、検察側から内田被告の「舎弟」だったと指摘された女。一連の犯行における2人の役割について、裁判長は。 裁判長) 「いずれも内田の指示によるものと認められる。これらの事情も考慮すると被告人が犯行で果たした役割の大きさは内田と比較すればやや小さいといえる」。 判決が言い渡された後、裁判長から判決内容を理解できたか問われた女は、小さな声で「はい」と答えました。 裁判員はこの事件をどのように裁いたのか。判決公判後、その1人が取材に応じました。 裁判員) 「今回の犯罪の重大さに関しては、年齢が若いことは考えませんでした」、「裁判員として量刑を決めることになったが被害者の立場、被告の立場、世間の感情の中で決めていくのが重かった」。 今回の判決は今後予定されている内田被告の裁判にどのような影響を与えるのでしょうか。 シティ総合法律事務所 中村浩士弁護士) 「今回の懲役23年という量刑よりも内田被告(の量刑)が相応重くなることを見越すと検察として今回の裁判を踏まえて求刑を見直すかもしれない」。 逮捕後に誕生日を迎え20歳となった女。懲役23年の判決について、女の弁護士は「控訴する予定はない」としています。 この判決を受けて女子高校生の遺族が先ほどコメントを発表しました。 「17歳の娘が失った一生を考えると23年でも軽いという思いです。娘が川に落ちるまでの供述は本当のことを言っているように感じ、娘の最後を知ることができました。自ら行ったことに真摯に向き合い反省してもらいたいです」。 今回の判決については、現在のところ、検察側も弁護側も控訴の意思を示していません。