犯人隠避、みちのく記念病院の元院長ら起訴

2023年3月、青森県八戸市の「みちのく記念病院」で入院中の患者が同室の男に殺害された事件を巡り、患者の死因を「肺炎」とした虚偽の死亡診断書を遺族に渡すなどして事件の発覚を免れようとしたとして、青森地検は7日、当時の院長の男(61)=同市類家3丁目=と、弟で、加害者と被害者の主治医だった男(60)=東京都新宿区=を犯人隠避の罪で、青森地裁に起訴した。地検は認否を明らかにしていないが、捜査関係者によると2人は逮捕当初、否認していた。 起訴内容などによると、両被告は23年3月12日から13日にかけて、入院中の髙橋生悦さん=当時(73)=が同室の男(59)=殺人罪で懲役17年が確定=から歯ブラシの柄で顔を突き刺されるなどの暴行を受け死亡した殺人事件を知りながら、隠蔽(いんぺい)のために共謀。適切な遺体の検案や警察への届け出をせず、死因を「肺炎」とする虚偽の死亡診断書を遺族に渡したり、加害者を「医療保護入院」として院内の閉鎖病棟に移したりして、事件を隠そうとしたとされる。 司法解剖の結果、髙橋さんの死因は、頭や顔に暴行を受けたことによる頭蓋内損傷と失血。遺族に渡された虚偽の死亡診断書は同病院に認知症で入院中だった80代男性医師名義で作成されていた。この医師は事件当時、認知症の症状は重く、会話が成り立たないほどの状態だったという。 県警は同病院への家宅捜索で、この医師名義で書かれた死亡診断書を200人分以上押収。そのうち約7割の死因が「肺炎」と記されていた。不正が常態化していた可能性がある。 地検の中川知三次席検事は、「追起訴もあり得る」とし、虚偽診断書作成罪なども視野に捜査を続ける考えを示した。

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