ICC、フィリピン前大統領に逮捕状か 「麻薬戦争」人道に対する罪

フィリピンのドゥテルテ前大統領が推し進めた薬物犯罪対策「麻薬戦争」を巡り、フィリピン大統領府のルイス報道官は9日、記者団に「国際刑事裁判所(ICC)が人道に対する罪でドゥテルテ氏の逮捕状を出したと聞いた。政府はいかなる事態にも備えている」と語った。 地元メディアによると、ドゥテルテ氏は現在、長女のサラ副大統領とともに香港を訪問中だという。フィリピン人の出稼ぎ労働者との政治集会に参加するためとしている。 ドゥテルテ氏は南部ダバオ市長時代から、薬物密売人らに対し、裁判なしで殺害することも辞さない強硬な姿勢を貫いた。2016年に大統領就任後は超法規的な取り締まりを国レベルでも実行し、6年間の任期中に少なくとも6600人が命を落としたとされる。 ICCは18年、人道に対する罪などの疑いで予備調査を開始した。これを受けて、ドゥテルテ前政権は19年にICC脱退を表明。しかしマルコス現政権は、ICCが国際刑事警察機構(ICPO)を通じて身柄拘束などの協力要請をした場合、「義務を果たす」と表明していた。【バンコク石山絵歩】

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