警察車両の後部座席に座った女性は憔悴しきっている。本誌カメラマンがレンズを向けると、長い髪の間から暗い瞳がのぞく衝撃の姿をみせていた――。 警視庁新宿署は3月5日までに昏睡強盗の疑いで、いずれも職業不詳の東京都中野区に住む木村心優容疑者(21)と杉並区在住の角張友星容疑者(26)を逮捕した。冒頭で紹介したのは、木村容疑者が逮捕直後に新宿署へ移送される際の様子だ。 「逮捕容疑の事件は、昨年4月17日早朝1時過ぎから3時半ごろに起きました。木村容疑者は、ホストクラブで働く20代の男性Aさんと新宿区歌舞伎町のホテルへ。部屋につくと、ミルクティーの入ったペットボトルをAさんに渡します。ペットボトルには睡眠薬が混入されていたそうです。 睡眠薬入りのミルクティーを飲んだAさんは意識混濁。木村容疑者はAさんがもうろうとしている間に、現金19万7000円やスマートフォンの入ったバッグ(時価約8万円)を奪ったとされます。警察の調べに対し、木村容疑者は『間違いありません』と犯行を認めているそうです」(全国紙社会部記者) ◆「覚えていません」 警察によると、木村容疑者は実行役で指示を出したとみられるのが角張容疑者だ。 「Aさんと角張容疑者は以前、同じホストクラブで働いていたそうです。’23年5月ごろからは同居を開始。しかし、なんらかのトラブルがキッカケで共同生活は3ヵ月ほどで解消されたとか。警察は、角張容疑者がAさんへの恨みから木村容疑者に犯行を指示したとみています。角張容疑者は『覚えていません』と犯行を否認しているそうです」(同前) ホスト同士のトラブルは多い。元神奈川県警の刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏が解説する。 「駆け出しのホストは、4~5人で共同生活していることが多いんです。彼らは同じ店で働く同僚ですが、客をとり合うライバルでもあります。足の引っ張り合いもある。ちょっとしたことがキッカケで、トラブルに発展するのはよくあるそうです。 同じ部屋に洋服や腕時計を置きっぱなしにして紛失すると、お互いのせいにすることもあるでしょう。上客をとられたと逆恨みすることもある。共同生活をして距離感が近いがゆえに、今回のようにトラブルが深刻化するケースもあるんです」 警察は、角張容疑者がAさんをターゲットに以前から犯行を計画していたとみて捜査を進めている。