【AFP=時事】シリアのアハマド・シャラア暫定大統領は9日、イスラム教少数派のアラウィ派市民らを標的とした大量殺害が国際的な批判を引き起こしているのを受け、責任追及と調査を約束した。 英国に拠点を置くシリア人権監視団は最新情報として、地中海沿岸のラタキア県とタルトゥス県で治安部隊や政府支持派の戦闘員が行った「処刑」により、アラウィ派市民830人が殺害されたと報告した。 この地域は、バッシャール・アサド前大統領が属するアラウィ派コミュニティーの中心地。 国連のボルカー・ターク人権高等弁務官は、殺害行為は「直ちに停止されなければならない」と要求。アラブ連盟や国連、米英などもアサド前政権崩壊以降で最悪の暴力を非難している。 シャラア暫定大統領は国営SANA通信社が公開した動画で、「民間人の流血に関与した者や国家の権限を逸脱した者には断固として、かつ容赦なく責任を負わせる」と述べた。 これに先立ち大統領府はテレグラムで、「民間人に対する違法行為を調査し、責任者を特定して」裁判にかけるための「独立委員会」が設置されたと明らかにした。 暫定政権の治安部隊と前政権支持派との戦闘は6日に勃発(ぼっぱつ)。 シリア人権監視団は、戦闘により治安部隊員231人と親アサド派250人も死亡し、全体の死者数は1311人に達したとしている。 同監視団によると、アラウィ派住民が多数を占める村で指名手配犯が逮捕されたことが戦闘のきっかけとなった。【翻訳編集】 AFPBB News