【ソウル聯合ニュース】韓国の沈雨廷(シム・ウジョン)検事総長は10日、「非常戒厳」宣言を巡り内乱罪で逮捕、起訴された尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の釈放を認めた地裁の決定に対し、検察が即時抗告を断念した理由について「捜査チームと大検察庁(最高検)の部長会議などさまざまな意見を総合し、適法な手続きの原則に従い、信念に基づいて決定を下した」と明らかにした。野党側が沈氏の即時辞任を要求していることに対しては「それ(即時抗告の断念)が辞任や弾劾の理由になるとは思わない」と拒否した。 沈氏は、身柄拘束の権限は裁判所にあり、勾留の執行停止や保釈に対する即時抗告制度が過去の軍事政権の残滓(ざんし)であり違憲とする判断が示された点を踏まえて釈放を指揮したと説明した。 一方、裁判所が尹大統領の勾留取り消し請求を認める決定を出したことについては、これまでの実務慣行と合わず同意できないとの立場を示した。 ソウル中央地裁は7日、検察による勾留期間の計算方法は刑事訴訟法の原則にそぐわず、尹大統領が起訴された際は違法に勾留された状態だったとして勾留取り消しを認めた。 これに対し検察は27時間に及ぶ長考の末、即時抗告を断念して尹大統領を釈放すると決定。この過程で、即時抗告を主張する特別捜査本部と釈放の結論を下した大検察庁の間で見解の相違が浮き彫りになった。