12・3内乱事態以後、最も恐ろしかったのはいつかという質問に対し、ミン・ジウンさん(30)は尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が逮捕状の執行を拒否し、漢南洞(ハンナムドン)の官邸に留まっていた1月を挙げた。「逮捕される直前まで30分に1回ニュースを見て、眠れませんでした」 前日、尹大統領が拘置所を出て支持者たちに手を振り官邸に入る姿を見て、ミンさんは当時の恐怖が再び蘇ったと語った。「拘束されて数週間はしばらく日常を取り戻しましたが、惨憺たる気持ちでした。その時に戻ったかのようで怖いです」。ミンさんが9日午前7時に景福宮(キョンボククン)駅の座り込み場に駆けつけた理由だ。 逮捕から52日で釈放され、官邸に戻る尹大統領の姿を見た市民たちは、前日「尹錫悦即時退陣!社会大改革!第14回汎市民大行進」(汎市民大行進)が終わった後も、景福宮駅周辺をすぐには離れられなかった。集会を主導してきた尹錫悦即時退陣・社会大改革非常行動(非常行動)代表団はここで前日午後11時からハンガーストライキを始めた。市民1千人余りも予期せぬ事態に驚愕し、夜遅くまでそのそばで発言を続けた。 9日朝に会ったイ・ダモンさん(24)は前日からそのまま景福宮の塀に寄りかかって夜を明かしたという。イさんは「昨日、集会現場で釈放のニュースを聞いてすぐに家から毛布を持って再び出てきた」とし、「(弾劾要求意見を)簡単に無視しないでほしいという切実さを伝えたい」と語った。イさんは逮捕状の執行前に漢南洞でも「キスデモ隊(エマージェンシーシートをかぶった姿がキスチョコレートに似ていることから付けられたもの)」として大統領官邸周辺で夜を明かしたこともある。そのように作り出した変化が水の泡になるかもしれないという不安が大きかった。イさんは「釈放後、予想できない行動を自由にしながら社会的混乱をさらに高める状況が特に懸念される」と語った。 徹夜の座り込みに出た市民たちは口をそろえて「再び頑張る姿」を他の市民たちにも伝えたいと語った。エマージェンシーシートをかぶって夜を明かしたCさん(31)は「逮捕に至るまで大変だった時間があったため、多くの市民が動揺し、涙を流す人もいた」とし、「その心を慰め、決意が少しも揺るがないことを見せたくて一晩中ここにいた」と話した。この日の朝早く集会現場を訪れたキム・ヨンジュさん(28)も「私たちは勝ち続けてきた。絶望的なニュースが多いが、今回も打ち勝つ」と言って笑顔を見せた。 非常行動はこの日午前「尹錫悦罷免要求緊急非常行動宣言」記者会見を行い、この日から尹大統領の弾劾宣告前まで毎日午後7時に大規模な集会を開く計画を明らかにした。全国の裁判所、検察、政府庁舎など拠点ごとに同時多発1人デモと時局宣言発表も続く。非常行動は「私たち市民は危機の度に広場を埋めながら歴史を作ってきた」とし、「民主主義と憲法秩序を守るために再び広場に集まって下さるよう呼び掛けたい」と述べた。 キム・ガユン記者 (お問い合わせ [email protected] )