無許可で運送業を営む業者らに不正に自社の名義を貸したとして、大阪府警が貨物自動車運送事業法違反(名義貸し)などの疑いで、大阪府岸和田市と東大阪市の運送会社の代表取締役らを逮捕、書類送検するなどしていたことが12日、捜査関係者への取材で分かった。両罰規定を適用し、法人としての両社も書類送検した。 名義を不正に借りた業者らは大阪・関西万博や統合型リゾート施設(IR)の建設工事に関わる土砂などをダンプカーで運搬していた。無許可で運送する一連の「白トラ」行為で、業者らは令和3年3月~6年11月に計約5億円を売り上げていたとみられる。 捜査関係者によると、名義を貸したとして摘発されたのは大阪府岸和田市の運送会社「村上商店」の代表取締役の男(56)や、同府東大阪市の「俵商店」の代表取締役の男(61)ら計2人。名義を借りて無許可で運送業を営んだなどとして摘発されたのは、奈良市の運送会社「BOND Line」の代表取締役(38)や個人で運送業を営む運転手など計11人。 村上商店や俵商店は、昨年4~9月、国土交通省から一般貨物自動車運送事業許可を得ている自社の名義を、B社や自営業者に不正に利用させた疑いが持たれている。名義を借りた運転手は月々約2万円を名義代として支払い、1日4万~5万円を売り上げていた。 運送業を営むには事業許可を受け、いわゆる「緑ナンバー」を取得する必要がある。今回摘発された運転手の1人は「万博などの工事に参入するためには緑ナンバーが必要だった」と説明しているという。