警視庁の警察署で実際に使われている代表番号を着信画面に表示させ、「詐欺の容疑者として疑われている」などと電話をかける手口が全国で相次いでいる。特殊詐欺の手口とみられ、同庁が注意を呼びかけている。 同庁新宿署(東京都新宿区)では、14日午前までに「新宿署から不審な電話がかかってきた」という相談が全国から450件以上寄せられているという。 警察署の電話番号は下4桁が「0110」だ。同庁によると、これまでも海外からの番号で下4桁を「0110」と表示させる手口はあったという。 だが、先月ごろから実際の警察署の番号が表示されるケースが出始め、14日までの3日間で急増。偽装表示の手口は現時点で分かっていないという。 電話では「新宿警察署の捜査2課」や「奈良県警の警察官」と名乗った上で、「あなたが特殊詐欺事件の容疑者として浮上している」「口座や電話番号が犯罪に使われている」などとしてSNSやビデオ通話に誘導。そこで偽の逮捕状や警察手帳を見せ、「紙幣の通し番号を確認したい」などと言って金を振り込むよう指示するという。 警視庁の幹部は「スマートフォンに電話がかかってくるのも特徴で、若い人でも被害に遭いやすい。不審な電話がかかってきたら、相手の氏名を聞いて、警察署に折り返すか最寄りの署に相談してほしい」と呼びかけている。(遠藤美波)