ゲーム会社社員、消火器で元上司を殴打「面倒くさそうな反応された」

職場で突然、かつての部下から消火器で殴られ、全治7日のけが。自分がパワハラをしたからだというが……。裁判になった事例から、身につまされる「本当にあった怖い話」を紹介したい。日本経済新聞出版の新刊『まさか私がクビですか? なぜか裁判沙汰になった人たちの告白』から、ダイジェスト版でお届けする。 東京都内の大手ゲーム会社のオフィス。2023年4月11日午前10時50分ごろ、男はおもむろに自席を立ち、近くに置いてあった消火器を手に取った。向かったのはかつて上司だった男性の席。振り上げた「凶器」で突然、頭を殴りつけた。 「おまえがいるせいでやりたいことができない」「自分だけが悪いんですか」。同僚に取り押さえられながら、男は、そう叫んでいたという。元上司は全治7日間の頭部打撲などのけがをした。男は逮捕され、即日会社を解雇された。 凶行に及んだ理由について、男は元上司から受けた「パワハラ」が背景にあったと述べた。 ●「面倒くさそうな反応をされた」 男は会社が運営する施設のアルバイトから契約社員を経て、11年ごろ正社員になった。仕事を進めるには元上司の承認が必要だったが「話しかけると面倒くさそうな反応をされ、提案は基本的に通らなかった」。机を並べる元上司に対し、憤りを募らせていった男。次第に頭痛などの症状が現れ、19年に職場でのストレスによる適応障害との診断を受けたという。人事担当者などに相談し、20年から元上司と別のチームに移った。 直接の関わりはなくなったが、男によれば、異動後の業務は元上司のチームが作ったコンテンツの商品化で、関係は完全には絶てなかった。新たなチームでも元上司の意見を聞く必要があり、自分が関わったことで提案が通らないなどして周りの信用も徐々に失い「追い詰められていく感覚があった」という。 会社の内部通報窓口に「非常につらい」「実力行使も辞さない覚悟」などと連絡。この4日後、男は事件を起こす。 「パワハラ」があったという男の主張は、法廷で認められただろうか?

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加