ハマス、テルアヴィヴにロケット弾発射 イスラエルはガザ地上作戦を再開

イスラム組織ハマスは20日、イスラエル・テルアヴィヴに向けてロケット弾3発を発射したと発表した。ハマスが反撃に転じたのは、イスラエルが18日にガザ攻撃を再開してから初めて。イスラエルもこの日、パレスチナ・ガザ地区での地上作戦を再開したと発表した。 イスラエルは、ミサイル1発を迎撃し、残りは人が住んでいない土地に落下したと発表した。 ハマス運営のガザ保健省によると、イスラエルが18日に戦闘を再開して以来、少なくとも591人が死亡している。うち200人以上が子供だという。 一方、イスラエル国防軍(IDF)は20日、エジプト国境に近いガザ南部ラファで「地上活動」を開始したと発表した。 イスラエルとハマスの停戦合意が1月19日に発効して以降、大規模な軍事行動は回避されていた。 IDFの声明によると、イスラエル部隊は「テロリストのインフラを(中略)解体」し、ガザ北部と中部でも「地上活動」を続けているという。 IDFは先に、ガザ「南北間の部分的な緩衝地帯」を作るため「標的を絞った地上活動」を開始したと発表していた。IDFは「限定的な地上作戦」だとしている。 IDFのアヴィチャイ・アドラエ報道官は、ガザの南北を分けるネツァリム回廊まで部隊を展開していると述べた。 イスラエル政府のダヴド・メンサー報道官は、ハマスが暴力行為を再開したことを非難。「(ハマスは)このエスカレーションを強いた。アメリカなどが仲介する提案も含め、人質をめぐるあらゆる取引を拒否した」と述べた。 イスラエルは18日、ガザ停戦をめぐって同国が求めてきた第1段階の延長の交渉が進展しなかったことから、ガザへの攻撃を再開した。ハマスが残りの人質を解放するまで攻撃を強化すると警告している。 イスラエル政府は、ハマスが依然として59人の人質を拘束しており、そのうち24人が生きているとみている。 ■数日間で国連職員5人が死亡、英国人が負傷 こうした中、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のフィリップ・ラザリーニ事務局長は、UNRWAのスタッフ5人が「ここ数日」の間に殺害されたと、ソーシャルメディアに投稿した。 「彼らは教師や医師、看護師だった」と、ラザリーニ氏は付け加え、ガザ地上侵攻が続く中、「最悪の事態はまだこれからだ」と警告した。 国連は20日、ガザ中部デイル・アル・バラフにある国連施設が被害を受け、職員1人が殺害されたと発表した。 国連プロジェクトサービス機関(UNOPS)のホルヘ・モレイラ・ダ・シルバ代表は、「これは事故ではない」、「少なくとも事件だ」と述べた。 ガザ保健省はイスラエルの空爆を非難。5人の負傷者が出たとした。IDFは国連施設への攻撃を否定しつつ、この事案を調査しているとした。 イスラエルにとって主要な武器供給源であるアメリカは、国際法を順守して武器を供給しているとしている。 ホワイトハウスのキャロライン・レヴィット報道官は、ドナルド・トランプ米大統領が「イスラエルとIDFのここ数日の行動を全面的に支持している」と述べた。 イギリスのデイヴィッド・ラミー外相は20日、ガザの施設への攻撃でイギリス人1人が負傷したことを認めた。慈善団体は先に、爆弾処理が専門のイギリス人スタッフ(51)が負傷したと発表していた。 「我々の優先事項は、この状況の中で、彼らとその家族を支援することだ」と、ラミー外相は議会で述べた。 エルサレムや、テルアヴィヴでは、ベンヤミン・ネタニヤフ首相に抗議する数千人のイスラエル人が集まり、人質の返還を求めた。 エルサレムでは、警官が抗議者に放水銃を発射した。また、数人が逮捕された。 イスラエルに対してはこの日、イエメンを拠点とする武装組織フーシ派も攻撃を仕掛けた。テルアヴィヴ近郊のベン・グリオン空港に向けて弾道ミサイル1発を発射した。 負傷者は報告されていない。IDFは、イスラエル領内に到達する前にミサイルを阻止したとしている。 ネタニヤフ首相は18日夜、ハマスに対する「戦闘を全面的に再開した」とするビデオ声明を出し、「交渉は戦火の下でのみ続けられる」、「これは始まりに過ぎない」と挑戦的な警告を発した。 人質の家族を代表するグループは、イスラエル政府が新たな攻撃を開始したことで「人質を見捨てた」と非難している。 イスラエルとハマスは、停戦の第1段階が3月1日に期限切れとなったあと、停戦をどう進めるのか合意できていない。 ハマスはイスラエルが提示した条件に基づく停戦の再交渉に同意しなかった。ただ、現在の協定を延長するために、存命のアメリカ人人質1人と遺体4体を解放することを提案していた。 対するイスラエルはハマスに圧力をかけるため、3月初めからすべての食糧、燃料、医薬品のガザ地区搬入を阻止した。 ハマスが2023年10月7日にイスラエル南部に仕掛けた奇襲攻撃では、約1200人が殺され、人質251人が捕らえられた。拉致されたうち25人は停戦の第1段階で生きたまま解放された。この合意とは別に、タイ人の人質5人も解放された。 ハマスに対してイスラエルは大規模な軍事攻撃で応戦。ハマス運営の保健省によると、パレスチナ人4万8500人以上が殺害され、家屋やインフラが壊滅的な被害を受けた。 (英語記事 Hamas fires rockets at Tel Aviv as Israel renews Gaza ground campaign)

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