トルコ大統領、ライバルの訴追めぐる抗議行動を「邪悪」と イスタンブールでは6夜連続で市民ら抗議

トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領の「最大のライバル」とされる、主要都市イスタンブールの市長が汚職の罪で訴追されたことなどへの抗議デモが続く中、エルドアン大統領は24日、野党が「暴力的な運動」を誘発していると非難した。 イスタンブールのエクレム・イマムオール市長は23日、汚職などの罪で正式に逮捕・訴追された。18日にはイスタンブール大学が、不正行為の疑いでイマムオール氏の学位を取り消すと発表。こうした動きに対する市民らの抗議デモは6夜連続で続いている。 市長の職を停止されたイマムオール氏は、罪状を否認し、自分の逮捕は政治的動機によるものだと主張している。エルドアン氏はイマムオール氏の主張を否定している。 イスタンブールの市庁舎周辺では24日夜、大勢の機動隊が待機する前で群衆は声をあげたり、トルコ国旗を振るなどした。 24日夕の抗議集会前に発表されたトルコ政府のデータによると、抗議行動が始まって以降、合わせて1133人が逮捕された。 エルドアン氏は先に、テレビで声明を出し、デモは「邪悪」で、野党が「挑発によって市民の平和を乱した」と非難した。 首都アンカラから声明を出したエルドアン氏は、抗議デモを止めるよう呼びかけるとともに、野党は「疑惑に対応する代わりに」、「(この)5日間、我々の政治史上最も卑劣で不法な発言をしてきた」と述べた。 イマムオール氏が所属する世俗主義政党の野党・共和人民党(CHP)のオズギュル・オゼル党首は24日夜、集結した大勢に向けて演説し、このデモは「ファシズムに対する反抗行為」だと語った。 オゼル党首は、イマムオール氏が勾留されているシリウリの刑務所を26日に訪問するつもりだと述べた。オゼル氏によると、CHPはイマムオール氏が釈放されて裁判を待てるよう求める方針という。また、国営放送局TRTで裁判の様子を生中継するよう求めるとしている。 勾留中のイマムオール氏は24日、2028年トルコ大統領選のCHPの大統領候補に承認された。CHPの大統領候補予備選には、イマムオール氏のみが出馬していたため、この投票は同氏への連帯を示すためのシンボル的なものと位置づけられていた。 トルコ当局は23日、イマムオール氏を、「犯罪組織の設立と運営、収賄、恐喝、個人情報の違法記録、不正入札」の罪で起訴。同氏は23日夜を刑務所内で過ごした。 逮捕される前、イマムオール氏は「決して屈しない」とソーシャルメディアに投稿した。 イマムオール氏はXへの投稿で、自分の逮捕は「わが国の民主主義の汚点」だとして、司法手続きが守られていないと批判。国民に抗議に参加するよう呼びかけた。さらに23日深夜には弁護士を通じてXで、抗議活動に参加した人々をたたえたほか、CHPがこの日行った大統領候補の予備選に参加した有権者は、エルドアン大統領に「もうたくさんだ」と意思表示したのだと述べた。 ここ数日間のデモは、トルコで起きたデモとしては、イスタンブール市内の公園取り壊しに対する抗議を機に全国的に広がった2013年の反政府運動以来、最大規模のもの。 デモはおおむね平和的に行われてきたが、23日と24日には警察が放水砲や催涙スプレーを使うなどの衝突が起きた。 イマムオール氏の妻ディレク・カヤ・イマムオール氏は市役所前で群衆を前に、自分の夫が直面する「不正義」は「全員の良心に響いた」と述べた。 トルコでは19日に捜査の一環として、イマムオール氏のほか政治家、ジャーナリスト、ビジネスマンを含む100人以上が逮捕された。 イマムオール氏は今回の逮捕によって大統領選への出馬が妨げられることはないが、起訴された罪状のいずれかで有罪判決を受けた場合は立候補できなくなる。 トルコではエルドアン大統領が22年にわたり、首相と大統領を歴任してきた。イマムオール氏は、そのエルドアン氏に対抗できる最強のライバルとみなされている。 大統領には任期制限があるため、エルドアン大統領は憲法を改正しない限り、2028年に再選されることはできない。 法務省は、エルドアン大統領と今回の逮捕を結びつける人々を批判し、司法の独立性を主張している。 (英語記事 Erdogan calls Turkey protests 'evil' as unrest continues)

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