神木隆之介『海に眠るダイヤモンド』で芝居に変化 “最強トリオ”野木×塚原×新井とのタッグは「初めて」の連続だった

「2024年12月度ギャラクシー賞月間賞」を受賞するなど高い評価を受けたテレビドラマ『海に眠るダイヤモンド』(TBS系)。本作は、『アンナチュラル』など数々のヒット作を手掛けてきた、野木亜紀子(脚本)×塚原あゆ子(監督)×新井順子(プロデューサー)のヒットメーカーたちによる初の日曜劇場であり、俳優・神木隆之介が日曜劇場初主演を果たしたドラマだ。神木は一人二役に挑み、1950年代の端島に生きる荒木鉄平と、現代の東京で無気力に生きるホストの玲央を見事に熱演。そんな神木と、野木、塚原、新井というファン垂ぜんの四人に、今回なんとインタビューが実現した。野木×塚原×新井との仕事を、「これまでにない」や「初めて」といった言葉で振り返る神木。そんな新鮮味のある撮影現場は、神木の芝居にも変化をもたらしたようだ。 ――神木さんは、野木亜紀子さん脚本、塚原あゆ子さん監督で、新井順子さんプロデュースの作品に出演されるのは初めてのことかと思います。このお三方の作品に出演しての感想はいかがですか? 神木隆之介(以下、神木):お三方が手掛けたドラマは放送されるたびに、面白くて話題になっていたので、“史上最強の作品を作る三人”だと思っていました。撮影前は、しっかりついていけるかが不安だったんですけど、もしも必死についていくことができたら、僕自身のことを「自分は大丈夫だ」って思えるのかもと思ったのもあり、今回引き受けさせていただきました。 ――塚原さんの演出はいかがでしたか? 神木:塚原さんの演技に対しての提案も、これまでにないもので、例えば「このシーンは、鉄平がもうちょっと悲しかったらどうですか?」といった感じで伝えてくださるんです。役者にとって、それって答えがなくて無限の選択肢があることなので、「うわっ」ってなるんですよね。 新井順子(以下、新井):宿題をもらうみたいな感じなんですかね。 神木:そうですね。一応、考えてもみるんですけど、これは現場に立ってやってみないと分からないなってことに落ち着きました。多分、ほかのキャストの皆さんも、きっと國村隼さんであっても、「今までつかんだことのないものをつかんでやろう」という気持ちになったんじゃないかと思います。 野木亜紀子(以下、野木):塚原さんには、直接的に表情を指定したくないという思いとかがあるんですか? 塚原あゆ子(以下、塚原):そこは無自覚でしたねー。どっちかっていうと、そのシーンの表情を指定できるほど芝居を知っているわけじゃないから、正解が私の中にないんですよ。ただ、もうちょっと前のシーンからの流れをくんだ方がいいとか、そういうことがあるんですよね。 ――野木さんの脚本に関してはいかがでしたか? 神木:同じシーンに何人かキャラクターがいる時、だいたいの作品では、うれしいシーンなら全員うれしい気持ちを持ってるものなんですよ。でも、今回初めての感覚だったのが、全体的にはうれしいシーンであっても、ある人にとっては悲しかったり、ある人にとっては、うれしいのに切なかったり寂しかったりして、全員が違う思いを抱いて、そこに共存しているということがあったんです。それは、脚本には逐一書いてはいないので、現場に行ってみないと分からないんですけど、それが難しくもあり、すごい脚本だなと思うところでした。 ――今回、神木さんを日曜劇場の主役に迎えるということで、お三方は、新たな一面を出したいという思いがあったのではないかと思います。 塚原:今回は二役でしたからね。だから、その二つのキャラクターが近くならないようにということは考えました。どちらかというと、玲央のほうがこれまで見たことのない神木さんの姿だったのではないかと思います。始まる前に、私と新井さんと野木さんの三人で、神木さんの透明感のある色気を引き出したいなという話はしましたね。 野木:今まで見たことのないキャラクターを演じてもらおうと思って書いてはいたんですけど、玲央と鉄平って、別の人間であるけれど、その上で、だんだん終わりに向かって近づいていくという役なので、それを演じるのってすごく難しいことだと思います。でも自然に演じてくださっていましたね。 塚原:撮影が順撮りではないので、そこはちゃんと計算してくれて、最終回ではちゃんと「第三形態」になってましたね。 野木:面白かったですね、鉄平でもなく玲央でもなく。 神木:うれしいです! それまでは、ウィッグをかぶったら玲央の気分になれていたんです。でも最後は、ウィッグはかぶっていないけれど、気分は玲央にならないといけないので、まあ玲央で演じればいいのかなって。 ――見ていて、印象に残った神木さんのシーンはありますか? 新井:第8話で、自分の働いているホストクラブが風俗店に女性をあっせんしている証拠を、玲央が警察に持っていくシーンがあるんです。玲央は、自分もその店に協力していたので「逮捕してください」って言って、一日警察で過ごすんですけど、次の日、迎えに来たいづみさん(宮本信子)に「あなた警察に泊まるのが好きなの?」「なんだか楽しそうねえ」って言われて、笑うんです。そのシーンの笑顔を見て、スタッフの女性が、「さっきまでと何かが違う。いい表情だ」って言って、泣いていましたね。 神木:第8話でいろんなことがガラっと変わるので、やりやすいシーンではありましたね。 ――神木さんは、この作品に出演しての変化はありましたか?

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