暴力団元会長や組員が「特殊詐欺に関与」 被害に遭った高齢者9人、5700万円賠償求め提訴

特殊詐欺の被害に遭った京都市などの高齢女性9人が28日、使用者責任があるなどとして、指定暴力団稲川会の辛炳圭(通称・清田次郎)元会長や組員の男ら計3人に約5700万円の損害賠償を求める訴訟を京都地裁に起こした。 原告は京都市と大阪府、三重県、群馬県に住む80〜90代の女性9人。訴状によると、9人は2022年7月〜23年4月、各自宅に息子を名乗る人物から「病院でカードをなくし、仕事で金が必要」などと電話があり、100万〜2千万円をだまし取られたという。 組員の男は、原告のうち1人の事件に関与したとして詐欺容疑で23年に京都府警に逮捕されたが、不起訴になった。その後、原告とは別の特殊詐欺被害者の被害金を回収役から受け取ったとして組織犯罪処罰法違反罪で起訴され、今年2月、京都地裁で実刑判決を受けた。現在控訴中。 原告側は、回収役らの証言などから、男が暴力団の立場を利用して詐欺グループを差配する立場にあったと主張。元会長らは暴力団対策法に基づく使用者責任を負うと訴えている。代理人の和田敦史弁護士は「刑事事件で罪に問うハードルは高いが、民事訴訟で組員の関与を立証し、被害回復を図りたい」と話した。

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