長崎県佐々町発注の工事をめぐる官製談合事件で、県警は29日、入札を妨害したなどとして、町長の古庄剛容疑者(77)を官製談合防止法違反などの疑いで再逮捕し、発表した。また、公契約関係競売入札妨害の疑いで、受注会社代表の中島幹人容疑者(68)を逮捕、別の建設会社の元社員山口情二容疑者(62)を再逮捕した。県警は捜査に支障があるとして3人の認否を明らかにしていない。 捜査2課によると、古庄容疑者は昨年6月14日に行われた、図書館の照明をLED化する町発注工事の指名競争入札で、入札前に山口容疑者に最低制限価格に近い金額を漏らし、中島容疑者が代表をつとめる電気工事会社「春本工業」に約2879万円で入札させて、落札させた疑いがある。 古庄容疑者と山口容疑者は今月、昨年7月に行われた町発注の団地の給水管改修工事の指名競争入札をめぐり逮捕されており、長崎地検は28日、古庄容疑者を官製談合防止法違反と公契約関係競売入札妨害の罪で、山口容疑者を公契約関係競売入札妨害の罪でそれぞれ起訴した。(榧場勇太) ■長崎県警、佐々町役場を再び捜索 佐々町長を再逮捕した長崎県警は29日午後4時前、町役場に捜索に入った。約10人の捜査員が数台の車に分乗して到着し、段ボールなどを手に役場に入った。町発注の入札をめぐり、町役場に県警の捜索が入るのは2度目となる。 中村義治副町長は、県警が町役場に捜索に入った直後、報道陣の前に現れ、町長が再逮捕されたことを報告。「度重なる逮捕は町政に対する信用を著しく失墜させるもので大変遺憾。深くおわびを申し上げます。今後も警察の捜査に全面的に協力し、同じ過ちを繰り返さないよう、すべての職員が法令を順守し、綱紀粛正を図り、再発防止に努め、一刻も早く信頼を回復できますよう全力で取り組んでいく所存です」と話し、頭を下げた。 逮捕容疑の舞台となったのは、町が昨年6月14日に実施した町立図書館の照明のLED化工事の入札。 町などによると、落札した春本工業は、最低制限価格をわずかに4600円上回る2879万3千円(税別)で落札していた。入札には6社が参加し、うち2社は最低制限価格を下回る額を入札して失格となった。 町長の古庄剛容疑者は、最低制限価格を知り得る立場にいたという。(上澤博之)