世界では、アメリカを仲介役とするロシアとウクライナの停戦協議が続けられているが、日本国内でも長きに渡った争いの終焉が間近だという見方が広がっている。 「いよいよ抗争も終わりが見えてきたかもしれんな」 関西に拠点を構えるある組織の幹部はそうつぶやいた。3月下旬、全国の暴力団関係者、警察関係者、さらには裏社会の動向を注視するマスコミ関係者の間で出回った、ある「連判状」についての情報に触れた時のことである。 暴力団関係者らのあいだで、組員の処分などの組織人事、暴力団関係者が関わった事件などの情報を共有するために使われている「ヤクザLINE」なるLINE上のコミュニティが存在する。そこで拡散されたのは、10年以上にわたって続く分裂抗争の趨勢を左右する衝撃的な情報だった。 ■抗争終結に向け調停か? 「出回ったのは関東の有力団体、稲川会の幹部が山口県に本拠を置く指定暴力団『合田一家』を訪ねたという話です。それだけではなく、訪問予定の組織のリストとして、岡山県内に事務所を構える『浅野組』、福岡市の『福博会』、新体制になったばかりの『旭琉會』も列挙されていました。 さらに、広島の『共政会』『?道会』、香川の『親和会』も"順次回る"とも記されていました。そして何より驚きだったのが、その目的として『連判状を作成して山口組に承認を取って井上、池田に行く』と言うのです。 ここで言う『井上』とは神戸山口組の井上邦雄組長を、『池田』とは池田組の池田孝志組長を指しているとみられます。この二つの組は、日本最大の暴力団、六代目山口組と敵対関係にあることで知られている組織です。つまり、抗争を終わらせるための調停の動きがあることが一斉に伝えられたというわけです」(暴力団情勢に詳しい捜査関係者) 「ヤクザLINE」で出回った情報には「堅気になる者の命の補償はする」との文言もあったことから、一部の暴力関係者は、六代目側から神戸側に突きつけられた「最後通牒」ではないか、との受け止めもあった。前出の幹部もそう読み取った一人である。 「具体的な稲川会の幹部の名前が挙げられていたし、その後も九州4組織の親睦団体である『四社会』の加盟団体には、地域の有力団体『道仁会』側からこの話が伝えられるとの〝続報〟もあった。稲川会といえば、内堀和也会長は六代目(山口組)の中核団体である『弘道会』の竹内照明会長とは兄弟分で、六代目の高山清司若頭とも関係が深い。抗争の仲裁役という大役を受けて抗争の収束に向けて動いた可能性は十分にある」(前出の幹部) ■神戸側の劣勢は決定的