警察官かたりの特殊詐欺 埼玉県で激増 遠い警察告げてSNSに誘導 偽の「逮捕状」も

埼玉県内の特殊詐欺事件は令和7年に入って増加し、3月25日現在の認知件数・被害額はともに過去最高を記録した令和6年の同期を超えている。特に増えているのが警察官をかたる手口で前年同期比29件増の62件となり、特殊詐欺全体の約20%を占める。被害額も同約2億4千万円増の約3億4千万円で、特殊詐欺全体の約31%。被害者宅から遠い警察を名乗り、SNS(交流サイト)でのやり取りに誘導する手口が目立つという。県警はチラシを作製して戸別訪問などで配布し注意を呼びかけている。 ■「逮捕されないためにお金必要」 警察官かたりの主な手口は、まず電話をかけてきた犯人側が警察署の名前と、通話相手にかけられている嫌疑などを告げる。県警は「犯人側は沖縄県警など自宅から遠い警察であることを告げることが多い」と説明する。 次いで犯人側は警察署に出頭するかSNSでの取り調べを選択させる。出向くのが難しい遠方の警察を名乗るのはSNSに誘導するためとみられる。 SNSに誘導されると、SNS上で偽の「逮捕状」を見せられるなどして、「逮捕されないために、あなたのお金を調べる必要がある」などと言ってインターネットバンキングやATMを使って現金を送金させる。 さらに犯人側は「守秘義務があるので、このことは周囲に話さないように」などと念押しして、発覚を遅らせているという。 ■全年代で被害に 県警によると、警察官かたりの特徴の1つは、若い人でも被害に遭っていることがある。25日現在の被害状況を分析すると、特殊詐欺全体では約45%が80代以上だったのに対し、警察官かたりでは年代に偏りはなかった。 携帯電話への電話も目立つ。特殊詐欺全体の約72%が固定電話に電話かかってきていたが、警察官かたりでは約64%が携帯電話にかかってきていた。金銭授受の約9割はネットバンクかATMでの振り込みだった。 県警は「警察官がSNSを使って連絡をすることはない。逮捕状をSNSで見せることもない。お金を要求することも絶対にない」と注意を呼びかけている。 ◇

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