(放送コラムニスト:高堀冬彦) いわゆる「中居問題」を受け、経営陣の交代を発表し、第三者委員会による厳しい調査報告書も突き付けられたフジテレビ。親会社のフジ・メディア・ホールディングス(FMH)ともども、いまも内部では動揺が続いており、落ち着く気配はない。理由は3つある。 第1に未だ明るみになっていない不祥事や問題がいくつもあるから。社内には強い不満がまだ充満しているのだ。 第2に両社の前取締役相談役・日枝久氏(87)の右腕と言われた金光修・FMH社長(70)が、同社会長に昇格するなどの新役員人事への不信感だ(新役員は6月のFMH株主総会での選任決議によって正式決定)。 第3に複数のアクティビストの大株主に対する怯えである。FMH株を11.81%保有する旧村上ファンド系の国内投資会社「レノ」勢や、7.19%を持ち新役員人事を痛烈に批判している米国ファンド「ダルトン・インベストメンツ」などが、6月末の株主総会に向けてどのような態度に出てくるのか分からないからだ。 この3つについて順を追って詳述したい。 ■ 封印されたままの不祥事 まず、なぜ明らかになっていない不祥事や問題があるのかいうと、今回の第三者委員会の調査対象に含まれなかったからである。また第三者委の能力にも限界があるし、調査対象期間は2016年4月1日から今年3月26日までに限定されていた。それ以前の問題は調査対象になっていないのだ。 そうした中、複数の社員が悔しがるのが、元上級役員による報道幹部経験者へのパワハラ疑惑が、今回明らかにならなかったことだ。 「報道幹部経験者が元上級役員からの叱責によって、心身に不調をきたした疑いがある」(フジ関係者A) 報道幹部経験者は過去にフジのイメージアップに大きく貢献した人物。人格者でもあったことから、同情論が強い。社内のコンプライアンス推進室による再調査を望む声が上がっている。なお、元上級幹部は日枝氏の寵愛を受けた1人だ。 世間が知らない不祥事や問題行為はまだある。たとえば経営陣の1人が女性アナウンサーたちと定期的に飲み会を開いていた件だ。場所も特定されている。東京都港区内の高級飲食店である。社内で問題視された。 この役員の行為は社内で女性アナの立場を誤認させてしまう一因となったと見られている。一昨年6月に起きた中居正広氏(52)から元女性アナへの性暴力の起点との指摘すらある。それでもこの役員はペナルティを受けていない。彼はやはり日枝氏のお気に入りだった。