「極刑回避は説明が付かない」。裁判長はオウム幹部に死刑判決を言い渡した 事件直後に「サリンの可能性」と発表、警視総監が学んだ教訓

首都中枢を襲った無差別テロから30年がたった。主導したオウム真理教元幹部らは逮捕され、死刑判決が確定してすでに執行された。未曽有の凶行にどう向き合い、何を感じたのか。裁判を担当した元裁判官、フォトジャーナリスト、当時の警視総監の3人に話を聞いた。(共同通信=地下鉄サリン事件取材班・大根怜、今村未生) ▽法廷の元死刑囚は誠実な態度だった―元裁判官の岡田雄一弁護士(74) 東京地裁の裁判長として2003年10月、オウム真理教元幹部の中川智正(なかがわ・ともまさ)元死刑囚に死刑判決を言い渡した。公判途中から担当となり6~7年の間、元死刑囚は一貫して誠実な態度で裁判に臨んでいるという印象を受けた。もしオウムと出合っていなければ、患者に寄り添った良い医者になっていただろうとも感じた。 刑事裁判で重要なことは、被告人が「自分の言い分を聞いてもらえた」と納得できることだと考えており、彼の話にも最大限、耳を傾けた。

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