今年1月、JR長野駅前で男女3人が殺傷された事件から22日で3か月です。容疑者の男を逮捕する決め手となったのが防犯カメラの映像などをつなぎ合わせる「リレー捜査」でしたが、専門家は今後の裁判を見据えた時「リレー捜査」の映像が証拠にならない可能性を指摘しています。 この事件は、今年1月22日の夜JR長野駅善光寺口で男女3人が次々に刃物で襲われ、長野市の丸山浩由さん当時49歳が死亡、男女2人が重軽傷を負いました。犯人はそのまま逃走し、警察が行方を追っていました。事件が動いたのは4日後の朝。 逮捕されたのは長野市西尾張部の無職矢口雄資容疑者46歳。丸山さんを殺害した疑いと男女2人に対する殺人未遂の疑いが持たれています。 逮捕の決め手となったのが防犯カメラやドライブレコーダーなどの映像をつなぎ合わせる“リレー捜査”です。 去年12月に福岡県北九州市のファストフード店で中学生の男女2人が襲われ女子生徒が死亡した事件でも、容疑者逮捕に繋がったのはリレー捜査でした。 通り魔的な犯行で犯人逮捕に効果を発揮する“リレー捜査”一方、専門家は罪を問われる法廷では「リレー捜査」の映像は証拠として弱いことを指摘します。 元警察官僚の弁護士澤井康生 弁護士 「防犯カメラのリレー捜査については犯人を特定するという点では非常に有用な面があります.。ただこれが裁判になった時に。例えば証拠がその防犯カメラの映像しかなかったという場合、 その防犯カメラの映像だけで簡単に有罪にできるかというと、 必ずしもそうではない。 それはなぜかというと、防犯カメラの映像というのは犯罪を直接証明する直接証拠ではなくてあくまでも間接的に 証明する間接証拠に過ぎないというふうにされているわけなんです」 捜査関係者によりますと矢口容疑者の自宅からは事件の際に着ていたとみられるジャンバーなどが押収されています。さらに、ジャンパーには血痕が付いていて 鑑定の結果、被害者のものと矛盾しないDNA型が検出されたということです。 澤井康生 弁護士 「今回の事件は、家宅捜索をして 捜索の結果いろんな物が押収されていると思います。十分に殺人罪の事実を立証できると思いますので有罪に持っていけるのではないかと思います。なので今回の事件については防犯カメラの映像を証拠で使うというのはそこまでの必要はないんじゃないかなと考えています」 現在、矢口容疑者には鑑定留置が行われ精神状態などが調べられています。 検察は刑事責任能力の有無などを見極め、起訴するかどうかを判断します。