《ブラジル》イースターのチョコ卵に猛毒=嫉妬で元夫の交際相手に

ブラジルで昨年末から続く「祝祭シーズンの凶行」が、イースターでも発生――北東部マラニョン州で、ある一家が自宅に届けられたチョコレート製のイースターエッグ(Ovo da Pascoa)を食べた直後に中毒症状を起こし、2人の子供が死亡、母親は重体となり入院中だ。警察は、送り主は母親の交際相手の元妻と特定し、嫉妬と復讐心から毒を盛った疑いで逮捕した。22日付G1などが報じている。 インペラトリス市に住むミリアン・リラさん(32歳)は16日夜、自宅でイースターエッグを受け取った。贈り物には「愛を込めて、ミリアン・リラへ。ハッピー・イースター」とだけ書かれたメッセージが添えられ、送り主の名前はなかった。その直後、ミリアンさんは見知らぬ女性から電話を受け、菓子を受け取ったかと尋ねられた。ミリアンさんが「受け取ったわ。でも誰の贈り物かしら?」と尋ねたが、その女性は「後ほど分かりますよ」と答えた。 特に疑うこともなく、ミリアンさんと2人の子どもはイースターエッグを口にした。まもなく、息子ルイスくん(7歳)が体調不良を訴え、市立病院へ搬送された。ルイスくんは人工呼吸器を装着されて入院したが、数時間後に死亡が確認された。 ルイスくんに付き添っていたミリアンさんも、病院で中毒症状を示し始めた。彼女の手は青紫色に変色し、呼吸困難に陥ったため集中治療室(ICU)に収容。その直後、娘エヴェリーさん(13歳)も同様の症状で病院に搬送され、22日の午後に息を引き取った。 警察は中毒症状の原因が毒物によるものと判断し、家族が食べたチョコレートの押収と分析を開始した。防犯カメラの映像や関係者の証言などをもとに捜査を進めた結果、ミリアンさんの交際相手の元妻ジョルデリア・ペレイラ容疑者(35歳)が贈り主として浮上し、17日に逮捕した。 ジョルデリア容疑者はサンタイネス市に在住しており、犯行のため384km離れたインペラトリス市へ移動していたことが判明した。16日未明に深夜バスで出発し、同日早朝に現地に到着。市内のホテルでは、偽名「ガブリエリ・バルセリ」を名乗り、偽造された名刺や身分証を提示してチェックインした。黒いウィッグにサングラスを着用し変装した姿は、ホテルの防犯カメラに記録されていた。 その後、ジョルデリア容疑者は市内のチョコレート店に立ち寄り、イースターエッグを購入。その商品をミリアンさんに届けるよう、配達を依頼した。 ジョルデリア容疑者はその晩、午後11時50分頃に再びホテルに戻り、翌日午前2時半頃に再びバスに乗り、サンタイネス市に戻った直後、待機していた警察に逮捕された。 捜査当局は、容疑者の所持品から毒物混入の証拠とみられる物品や、偽造書類などを押収。容疑者は当初、毒物混入を否認していたが、取り調べの過程で最終的に犯行を認めた。元夫がミリアンさんと交際を始めたことに対する嫉妬と復讐心が動機であったと供述している。 ミリアンさんは現在も市立病院で治療を受けており、容体は安定に向かっているとされるが、2人の子どもを同時に失った精神的ショックは計り知れず、心理的支援が続けられている。警察は今後、ジョルデリア容疑者を司法の場に引き渡し、その刑事責任を問うとしている。

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