ルーラ大統領が5月初旬、ロシアを訪問することが正式決定した。これは、ブラジル大統領が戦争中の国を訪れる初事例であり、国際社会の注目を集めている。訪問目的は、ロシア政府からの招待を受け、第2次世界大戦におけるドイツ降伏80周年を記念する「戦勝記念日」式典に出席することだが、プーチン大統領との首脳会談も予定されており、単なる外交的儀礼にとどまらず、戦争を続けるロシアへの明確な支持を示すものだとクルゾエ誌などが報じた。 ウクライナ攻撃を続けるロシアは、弾道ミサイル、超音速ミサイル、ドローンの製造のためにほぼすべての資源を軍事活動に集中しており、さらに西側からの厳しい制裁に直面し、深刻な経済的困難に直面しているとされる。ロシア軍兵士は既に7万〜20万人が命を落としており、国内では戦争に対する抗議活動が禁止され、ウクライナの旗を掲げる者は即座に逮捕されるという、民主的ではない状況にある。ロシア国内では断続的にドローン攻撃が発生し、モスクワを含む都市が標的となっている。 23日には、米国のJ・D・ヴァンス副大統領がウクライナとロシアに対し、トランプ大統領が提案した和平案に対する回答を求める期限を設けるなど、外交的な圧力を強めているが、ロシアによる軍事侵攻は続き、戦争の終結に向けた道筋は見えない状況が続いている。 ルーラ氏はプーチン氏との会談で「ウクライナ危機の平和的解決に向けた可能性について議論する」と表明しているが、彼の訪問は結果的に、戦争を続けるロシアに対する支持を明確に示すことになり、プーチン氏はこの機会を利用してロシアが国際社会から孤立していないこと、西側諸国とも依然として協力関係にあることを強調することが予想される。 プーチン氏は21日、ルーラ氏との電話会談を行ったことを明らかにし、「我々は非常に密接に連絡を取り合っており、友人として、パートナーとして、これらの連絡を拡大することを常に支持している」と述べ、両国間の関係強化を強調した。 ルーラ氏はこれまでも、ウクライナ戦争に関してロシアに好意的な発言を行い、ウクライナのゼレンスキー大統領を批判してきた。特に、ゼレンスキー氏の態度が「戦争を望んでいた」と語ったことは国際的に議論を呼んだ。ブラジルの立場は、ロシアに対する批判的な姿勢を取らず、〝独自〟の外交路線を維持しようとするものであると理解されている。 ルーラ氏のロシア訪問が実現すれば、ブラジルとロシアの関係は新段階に入ることが予想される。ロシア訪問直後には中国にも国賓待遇で訪れ、習近平国家主席との会談を行う予定で、中国との連携強化も視野に入れている。 口では「米中と等距離で」などと〝中立〟を装いつつ、実態としては中露寄りの行動を示すルーラ氏の外交は国内外で批判を浴びており、ブラジルが取るべき立場を模索することは、今後の外交政策に重大な影響を与えると考えられる。