「花に嵐のたとえもあるぞ、さよならだけが人生だ」 草吉(阿部サダヲ)が披露した井伏鱒二による漢詩『勧酒』の訳で幕開けとなったNHK連続テレビ小説『おむすび』第5週。のぶ(今田美桜)が巣立ちの時を迎え、女子師範学校の寮に入るために生まれ育った家を出る。家族に見守られながら旅立つのぶの姿を影から密かに見守るのは、嵩(北村匠海)だ。 嵩が物悲しそうにしている一方で、希望に胸を膨らませるのぶ。だが、彼女を待ち受けていたのは想像以上に過酷な学校生活だった。 のぶとうさ子(志田彩良)の担任となったのは、受験で面接官も担当していた黒井雪子(瀧内公美)。厳格で軍国主義に染まった黒井に、のぶはのっけから洗礼を受ける。うさ子が落としたえんぴつを拾おうとしたところ、黒井から入学にあたっての覚悟を問われたのぶ。怯むことなく家族への感謝と誓いを述べるが、黒井は「愚かしい!」と一刀両断し、「お国のために尽くす覚悟がない者は去りなさい」と他の学生への見せしめにのぶを強く叱責するのだった。 これに怖気付いたうさ子が吐露した弱音を、室長の白州タキ(青山祥子)に聞かれてしまい、先輩たちからも早速目をつけられてしまった2人。朝6時から夜9時までほぼ休みなく勉強させられ、ただでさえヘトヘトな上に、夜中でも先輩がトイレに起きたら洗面器持ちのためについていかなければならない。しかし、さすがは“ハチキンおのぶ”。新しい生活に戸惑いながらも、持ち前の精神力と体力で必死に食らいついていく。 かたや、受験に落ちた嵩は相変わらずしょぼくれていた。弟の千尋(中沢元紀)は4年生で全科目を修了し、1年早く高知第一高等学校を受験して法律家を目指すことに。寛(竹野内豊)は一代で柳井医院を畳んでもいいと考えていたが、千代子(戸田菜穂)は諦めきれず嵩に医者の道を勧める。それを受け、医者になった未来の自分を漫画で想像してみる嵩だが、どうにもしっくりこない。