裁判所にうその申告をして、犯罪に使われて入出金ができなくなった「凍結口座」から約5千万円を引き出したとして、神奈川県警は13日、男3人を詐欺と有印私文書偽造・同行使の疑いで再逮捕した。強制執行制度を悪用したとされ、立件されるのは全国で初めてとみられる。 凍結口座をめぐっては、「凍結口座の名義人に金を貸した」とするうその「支払督促」を裁判所に申し立て、強制的に財産を回収する強制執行の手続きによって現金を引き出そうとするケースが相次いでいた。このため最高裁が今年2月、全国の裁判所に注意を呼びかけていた。 再逮捕されたのは、職業不詳の吉原秀明(44)、会社役員の吉井一旗(53)=いずれも東京都文京区=、自称飲食店経営の高橋一幸(47)=住居不定=の3容疑者。 県警によると、3人は共謀し、昨年6~9月下旬、高橋容疑者を債務者、知人の男を債権者とする「支払督促申立書」など、強制執行に必要な複数のうその書類を東京簡裁に提出。東京地裁が強制執行を認め、3人が実質的に管理し、凍結された銀行口座からほぼ全額の約5千万円を引き出してだまし取った疑いがある。 県警は今年2月、海外のオンラインカジノで得た収益約42億円を複数の口座に不正に移動させたとして、組織犯罪処罰法違反(犯罪収益隠匿)容疑で3人を逮捕していた。凍結口座から不正に引き出されたとみられる金もこの一部の可能性があるとみて調べている。(中嶋周平、加藤美帆)