静岡県内でこの1週間、死亡ひき逃げ事件が連続発生した。県警によるひき逃げ事件の摘発率が9割を超え、死亡ひき逃げは今年を含めて14年連続で100%を維持しているにもかかわらず、後を絶たない。逃げる背景にある飲酒運転の根絶や、ドライバーの規範意識醸成に向け、県警は取り締まりや啓発を強めている。 「たいしたことがないと思った」。県警が救護や通報をしないまま逃走した動機を運転者に聞くと、重大事と受け止めていないと思えるケースが多いという。さらに、負傷者がいる重大事故の場合は「怖くなって現場を離れた」との答えが目立つとした。 静岡市清水区庵原町の市道で24日発生した死亡ひき逃げ事件。自転車の男性(80)が軽トラックにはねられ、死亡した。発生から約1時間後、逃走していた山梨県の男(48)は逮捕され、男の呼気からは酒気帯び運転の基準値を超えるアルコールが検出された。 飲酒運転の発覚を恐れたひき逃げの容疑者は毎年一定数いるというが、今年も5月以降、飲酒運転が絡む事故や摘発が相次ぐ中で起きたひき逃げ事件だった。 この事件の3日後の27日夜、静岡市葵区昭和町の国道で歩行者の男性(40)が乗用車にはねられ、死亡した。約6時間後、ひき逃げ容疑で逮捕された同区の会社員の男(30)は「怖くて逃げてしまった」との趣旨の供述をしているという。