●通過の男性 逆走事故容疑で逮捕 75歳以上のドライバーが免許更新時に受検する「認知機能検査」について、昨年1年間の石川県内の合格率が97・7%だったことが県警のまとめで分かった。金沢市内では5月、2カ月前に検査を通過したばかりの高齢男性が幹線道路を逆走し、女子大学生に重傷を負わせたとして逮捕された。専門家は「認知機能検査では運転に必要な能力の全てを同時に測ることはできない」とし、現行方式の形骸化を指摘する。 ●「少しぼけていても」 県警運転免許課によると、昨年1年間で認知機能検査(臨時認知機能検査を含む)を受検した延べ3万1815人のうち、不合格は712人で全体の約2・3%だった。今年4月に受検して合格したという羽咋市内の女性(81)は予想より簡単な内容だったとし、「少し頭がぼけていても受かると思う」と振り返った。 認知機能検査は記憶力や判断力を測定する検査。75歳以上の高齢ドライバーが運転免許の更新時や、交通違反があった際の講習時に受検するよう義務付けられている。 検査はイラストを記憶してもらって内容を確かめたり、受検日時などを問うたりする内容。100点満点中36点以上なら「認知症のおそれがない者」と判断され、合格となる。 一方、36点未満は「認知症のおそれがある者」に分類されて不合格になる。この場合は医師の診断を受けなければならず、認知症と診断されると免許を更新することができない。認知症と診断されなければ合格するまで何度でも受検することができる。 5月10日深夜には、金沢市鈴見台1丁目の金沢外環状道路山側幹線(山側環状)で逆走事故が発生し、3月に認知機能検査に合格した男性(78)が道交法違反(ひき逃げ・事故不申告)と自動車運転処罰法違反(過失傷害)容疑で逮捕された。金沢地検は処分保留で釈放し、任意で捜査している。 この事故では、逆走車を避けようとした女子大学生がガードレールに衝突し、胸や背中の骨を折る重傷を負った。男性の親族によると、男性は昨年末から自宅の鍵や財布をなくすといった認知症の症状がみられるようになっていた。