尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領が起こした12・3内乱事態の真相を究明し、責任者を処罰する「内乱特検法」が5日、国会本会議で可決され、3度目の試みで稼動を目前にしている。法案を主導した与党「共に民主党」は、捜査員を大幅に増やした法案修正案を前日に提出しこの日可決させたことで、強力な内乱清算を予告した。 民主党は、非常戒厳宣布2日後の昨年12月5日と今年1月9日の2度にわたって内乱特検法を発議し、本会議で可決されたが、当時のチェ・サンモク大統領権限代行副首相が再議要求権(拒否権)を行使し、国会再採決の敷居(200人賛成)を越えることができなかった。当時、チェ権限代行は「捜査・裁判が進められている」という点を拒否権行使の理由に挙げたが、民主党は尹前大統領など主要人物が捜査を拒否しており、追加の捜査も必要だと反論した。これに伴い、4月25日に祖国革新党、進歩党、基本所得党、社会民主党と共に3度目に発議した内乱特検法には、野党「国民の力」の議員らの賛成を引き出すため2度目の特検法からは除外されていた「外患誘致」疑惑が捜査対象に再び加えられ、国会の非常戒厳解除要求案の表決妨害を試みた行為も新たに加えた。最も強力な内乱特検法案と言える。 このため、本会議で可決された内乱特検法の捜査対象は、非常戒厳宣布で国家権力の排除および国憲びん乱を目的に暴動を起こした行為▽国会統制および封鎖、人的被害および国会の器物破損▽軍・警察などの物理力とその他の方法を利用した国会表決妨害の試み▽政治家、法曹家、ジャーナリストの逮捕および監禁の試み▽中央選挙管理委員会、報道機関、政党本部の不法占領および押収捜索▽兵器を携帯して反乱を起こした行為▽非常戒厳宣布の建議と拘禁施設の用意および内乱目的の殺人・予備・陰謀および内乱の宣伝扇動▽北朝鮮の攻撃を誘導して非常戒厳を宣布する形で内乱を試みた行為▽捜査および裁判遅延行為▽内乱・外患行為関連の告訴・告発事件▽捜査過程で認知された関連事件など、計11件。 このうち、国会の表決妨害の試みなどは、「国民の力」の議員らが捜査対象になる可能性もあるとみられている。民主党は、非常戒厳宣布の翌日である昨年12月4日未明、国会の非常戒厳解除要求案の表決に国民の力の議員の多数が参加しなかったのは、党の主流が意図した結果だと疑っている。 国民の力は同日、党方針として内乱特検法に反対した。チュ・ジヌ議員は本会議の反対討論で「憲政史上13件の特検があったが、今日のように与党が発議した特検はこれまで1件もなかった。特検は権力者に対する捜査をきちんとできない可能性を考えて作られた制度だからだ」と主張した。だが、チョ・ギョンテ、アン・チョルス、キム・イェジ、キム・ジェソプ、ハン・ジア議員など5人が賛成し、キム・ソヒ議員は棄権した。パク・スミン、ペ・ヒョンジン、ウ・ジェジュン議員は本会議の表決に参加して反対票を投じた。このため、内乱特検法は在席198人に賛成194人、反対3人、棄権1人で可決された。 特別検察官は民主党が1人、非交渉団体のうち議席数が最も多い祖国革新党が1人ずつ候補者を推薦し、このうち1人を李在明(イ・ジェミョン)大統領が任命する。特別検察官補は、特別検察官が6人を推薦し、李大統領が任命する。派遣検事は60人、派遣公務員と特別捜査官は100人だが、これは民主党が以前に国会法制司法委員会を通した法案よりも各20人ずつ増やして提出した修正案だ。捜査期間は、準備期間20日を除いて最長150日だ。 イ・スンウク記者(お問い合わせ [email protected] )