犯罪グループ「JPドラゴン」のリーダー・吉岡竜司容疑者が、フィリピンの入国管理局に拘束された。吉岡容疑者が拘束される前、元徳島県警捜査１課警部・秋山博康氏が独占取材を敢行。「ルフィ事件」との関与について「何一つタッチしていない」と主張した。 吉岡容疑者は、警察官になりすましてキャッシュカードを盗んだ疑いで福岡県警から逮捕状が出されていた。2025年5月にもJPドラゴンのメンバーとされる7人が窃盗容疑でフィリピンの入管に拘束されている。 JPドラゴンはフィリピンを拠点とした犯罪集団と称され、同じくフィリピンを拠点としたいわゆる「ルフィ事件」との関与が一部メディアやSNSなどで取り沙汰されている。組織トップの拘束は各メディアが大きく報じ、今後、一連の特殊詐欺などの関与や組織の実態解明が注目されている。 実は秋山氏は徳島県警の刑事時代、吉岡容疑者をある事件で捜査したことから面識があったが、30年以上は音信不通だったという。しかし2年前、秋山氏のSNSのダイレクトメッセージに突然、吉岡容疑者からメッセージが入った。「秋山警部。ご無沙汰しております。直接話したいことがあります」。日本ではルフィ関連事件が社会問題となっていた頃だ。 2024年2月、ボランティア活動でマニラを訪れた秋山氏は吉岡容疑者と面会することになった。 「日本ではルフィ事件が社会問題になっている。ルフィの上にJPドラゴンがいると言われている。その真実を言ってほしい」（秋山氏） 「ルフィ事件の上でわしらがやったって言うけど、わしらは何一つタッチしていないし、そういうこと一切触れてもいない。元々、渡邉（優樹被告。ルフィ事件の主犯格）いう男は、バンコクで仕事やっとったらしい。振り込め詐欺とかオレオレ詐欺の仕事を。渡邉の箱をJPドラゴンのわしが奪い取ったとか言うけど、そんなもんも全然アレやから。フィリピンの警察に乗っ取られて、それの通訳でわしらが行っただけ」（吉岡容疑者） ルフィ事件は「トクリュウ」の象徴的な事件で、東京や広島などで詐欺や、強盗 さらには強盗殺人事件などを引き起こし、実行犯4人のうち3人が無期懲役（うち2人は控訴）、 1人に懲役23年（控訴）が言い渡されている これらの事件で実行犯に指示を出していたとされるのがルフィこと今村磨人被告と、グループのリーダー・渡邉優樹被告。吉岡容疑者は渡邉被告とは現地で面識はあったが、それ以上の関係はないと主張する。 では、ルフィグループの上には反社会的勢力がいるのか。「日本を騒がせたルフィ事件の頭は、渡邉が頭で間違いない」（吉岡容疑者） そもそも「JPドラゴン」とは、どんなグループなのか。「日本のメディアとかいろいろな人間は半グレって言うけど、JPドラゴンっていうのは、“J”は“JAPAN”のJで、“P”は“Philippines”のPで、ドラゴンはわし自身の名前“吉岡竜司”で、フィリピンで株式会社を作ってフィリピンに税金を納めている会社。半グレでもなんでもない。わしがヤクザで、半グレで、JPドラゴンで。フィリピンでは闇バイトとか全部わしがさせているとか、フィリピンで日系企業のレストランや店からかすり（上納金）取りに行っているとか。フィリピンの店、一軒一軒聞いてください。わしに一円でも金せびられた店あるんかって」（吉岡容疑者） 吉岡容疑者は、フィリピンのある詐欺集団がルフィ事件にJPドラゴンが関与しているかのような情報を流していると主張する。 「今回の連続強盗事件、狛江の強盗殺人とか、わしはこれっぽっちも噛んでいない。その頭だとかそんなことも全然ない。本当にそれだけ。もう真実はひとつ、それだけ」（吉岡容疑者） 2024年３月、JPドラゴンのメンバーとされる男がフィリピンの入管に拘束、日本に強制送還され逮捕された。そのメンバーも今回と同様の窃盗容疑での逮捕だった。実はこのメンバーが拘束される前に吉岡容疑者から秋山氏に出頭させる趣旨の連絡と、その男のパスポートのコピーが事前に届いていた。狙いは何だったのか。 2024年3月、秋山氏は日本から電話で吉岡容疑者に連絡を取った。 「さっきニュースで出たんやけど、JPドラゴンのメンバーとされる男が向こうで拘束されたってニュースになった」（秋山氏） 「秋山さんに前もってわしが言うとったでしょ」（吉岡容疑者） 「早いな」（秋山氏） 「わしは秋山警部にはウソを言いまへん」（吉岡容疑者） 窃盗容疑で逮捕されたこのメンバーはのちに不起訴処分となった。さらに別のメンバーが同様の容疑で強制送還、逮捕されたが不起訴処分だった。この容疑での不起訴を見込んでの行動だったのか。 「（不起訴処分となった男）自体も窃盗って言われているけど、日本の警察は分かってないから。この事件に一切、タッチしていないから。わしが一番頭で（容疑者が）13人のっている。13人の中で半分以上は、わしも知らない人間。これで逮捕状を出されたら、わしも納得いかない。本当に納得いかない。全然わしも闘おうと思っている。わしもムキになっている。住んでいる事務所から家までテレビにのせて、（経営している）レストランまでのせて、困る、そんなことされたら」 「ルフィの黒幕って言われ、何十人、何百人って警察に拘束されて、わしに金を渡したとか、わしにやらされたっていう人間、一人でもおったんですか。それをJPドラゴンの吉岡竜司がやっているって言うから、それは大間違い。自分が動かなあかん。このままではあかん。出頭させて、最終には自分が、わし自身も出頭する」（吉岡容疑者） 秋山氏によれば、吉岡容疑者は2025年年2月には入管に出頭し、日本に帰国、逮捕され裁判を受ける意思を示していたという。 今回の吉岡容疑者の拘束について秋山氏は「本人は誤算だったと思う。フィリピンはご存知の通り、賄賂・汚職の国。吉岡も私にずっと、入管とか地元のフィリピンの警察というのは『俺の言うことを聞く』『手中にある』というようなことを言っていた。しかし入管はこの度、急遽拘束したということで、多分吉岡本人も誤算だったと思う」との見方を示した。 また、ルフィ事件の黒幕については「捜査本部の意向とすれば、やはりルフィのバックには黒幕がいるだろうと。そういう捜査をして全容解明、その組織犯罪グループを潰すということが捜査本部の目的。そのルフィらと親密な関係にあるJPドラゴン、この捜査は完全にやるべきだと思う。その逮捕状を持っている福岡県警の捜査力をどう見るか、期待したいと思う」と語った。 「吉岡本人は、グループのトップは渡邉だと。ただ、いろいろな捜査で、例えば電話やメールの捜査をして、親密な関係に吉岡があったんだろうと思う。だから逮捕状が出ている。逮捕状を取った限りは、捜査を進めていくのが捜査本部だ」（秋山氏） さらに、秋山氏は吉岡容疑者との面会について「ボディーガードが２人くらいついていたが、１対１で話をさせろと主張して、１対１で話すことになった」「警察大学の後輩や日本の警察には（フィリピンに行くことを）伝えていた。『危険なので、行かないでくれ』と言われたが、本人から話を聞きたかったので行った。本人も自分の潔白を晴らしたいと言っていた。それならば日本に来い、出頭しろと説得を続けていた」と舞台裏を明かした。 （『ABEMA的ニュースショー』より）