噴霧乾燥機の不正輸出容疑で逮捕され、後に起訴が取り消された機械メーカー「大川原化工機」(横浜市)側による国家賠償請求訴訟で、警視庁の逮捕と東京地検の起訴を違法とした東京高裁判決について、大川原正明社長(76)らが9日、同庁などを訪れ、上告断念を要請した。 関係者によると、東京都と国は上告しない方向で検討している。上告期限は11日。 大川原社長らは、冤罪(えんざい)事件の真相解明や、捜査に当たった警察官の厳正な処分を求める要請書を手渡した。上告断念を求めて判決翌日の先月29日から募っているオンライン署名約4万1400筆も届けた。 警視庁への要請後、勾留中に判明したがんで亡くなった元顧問相嶋静夫さん=当時(72)=の長男(51)が取材に応じ、「署名数は、刑事司法全体の問題として国民が危機感を持った表れ。警視庁と東京地検は重く受け止め、納得できる再発防止策を立ててほしい」と訴えた。