「実績ある人は狙わない」日大重量挙部元監督を逮捕“学費詐欺”か なぜ20年発覚せず

日本大学重量挙部の元監督・難波謙二容疑者(63)が、特待生の保護者から、本来、免除されるはずの授業料などをだまし取った疑いで、逮捕されました。 インカレで22回もの優勝を重ねた屈指の名門・日本大学重量挙部。卒業生には、モントリオールオリンピックの銅メダリストも。ここ3大会も、日本代表選手を輩出し続けています。 懲戒解雇されるまで、24年にわたり監督を務めてきた難波容疑者も重量挙部のOBでした。 難波容疑者は、2023年度に入部予定だった特待生の保護者ら4人から、現金205万円をだまし取った疑いが持たれています。 重量挙部では、特待生に送る入学のための書類を、コーチが大学側から受け取っていました。そこに含まれていた授業料などの振込用紙を悪用したようです。 難波容疑者の指示のもと、金額を水増しした嘘の書類を独自に作成して、保護者らに請求。重量挙部の口座に振り込ませていたとみられます。嘘の書類には『特待生として申請しています。“2年次以降”は徴収されません』とあります。これはつまり、本来、初年度から減免されるはずの授業料などを要求するものでした。 特待生として入部した重量挙部のOBの両親は、息子のためにと、やむなく200万円ほど工面したそうです。 特待生として入部した重量挙部OB 「入学するタイミングで、一括でお金を払わないといけない話があった。当時、母は、定期預金とかを解約して入れたと聞いている。苦労して稼いだお金だと思うので、むかつきますよね。ありえない、教育者として」 被害は、これで収まりそうにありません。 実は、不正があったことは、去年、夏の段階で日本大学が公表していました。 事態が明るみになってから逮捕まで11カ月ほどかかったことになります。大学が調査を進めたところ、難波容疑者は、2005年度以降、58人の保護者らから不正に金を受け取っていたことが判明。被害総額は、5300万円を超えていたそうです。 日大側は、去年のうちに被害者全員に返金を完了するとしていました。 特待生として入部した重量挙部OB 「返金が来たので、何かしら徴収されていたのだと思う。(Q.返金はいつのタイミング)去年の8月。封書で何度か謝罪があった。(Q.当時は本当に気づかなかった)全く気づきませんでした」 難波容疑者は、日大で生物資源科学部の教授も務めていました。だまし取ったとされる金は、自身の研究室にあったキャビネットに保管。その多くは、自分のために使っていたとみられています。車の点検費用やコーティング代のほか、スーツやバッグ、香水などの購入にあてていたようです。 ただ、難波容疑者は、容疑を否認しているそうです。 難波謙二容疑者 「寄付金として、保護者の了解を取り付けて、もらったお金という認識でした。私的に使用した寄付金は一切ありません」 学生時代、ウェイトリフティングに打ち込んできた卒業生は、こう話します。 特待生として入部した重量挙部OB 「全然、練習は見に来ない。王様みたいな感じで、どのコーチ陣も、いち早く、監督の機嫌を取らないといけないみたいな感じ」 特待生として入部した重量挙部OB 「難波監督は、本当に一番上の会長みたいな立場。誰かしらコーチに指示をして(虚偽の書類を)作らせていたんじゃないか」 日大には、特待生の種類が4つあります。入学金から授業料などまで免除されるものから、一部しか免除されないもの。ただ、新入生には、自分がどの特待生として合格したのか、通知もなかったそうです。 捜査関係者も、この仕組みが、不正な請求をばれにくくした原因の1つになったとみています。 特待生として入部した重量挙部OB 「インターハイ優勝クラスの人とかは、被害に遭ってなくて。ベスト4からベスト8ぐらいの人が被害に遭っている印象。中堅ぐらいの実力の人たちが、被害に遭っている。本当に強い人は、明らかに奨学金もらえるのに、『何で払うんだ』という違和感を持たれると思ったのか。そういったところも何かこざかしい」 日本大学のコメント 「不正行為により、本学の社会的信頼を失墜させたことは、痛恨の極みであり、本学として社会に対し、深くおわびを申し上げるとともに、同人に対し、引き続き、厳正に責任追及を行います」 ただ、日大は、ほかのスポーツ部でも、本来、特待生が払う必要のない費用を振り込ませていたとしていて、合わせて54人の保護者らに6800万円あまりを返金したということです。

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