米ロサンゼルス中心部に夜間外出禁止令、市長が発出 知事は大統領が状況悪化と非難

アメリカのロサンゼルスで続く非正規移民摘発の抗議デモ参加者らと警察・州兵などとの衝突で、同市のキャレン・バス市長は10日、市中心部を対象に夜間外出禁止令を出した。州兵や海兵隊を送り込んでいるドナルド・トランプ大統領は同日、抗議デモを「平和と社会秩序に対する攻撃」と非難。これに対し、カリフォルニア州のギャヴィン・ニューサム知事は、トランプ氏が状況を悪化させていると強く批判した。 ロサンゼルス市のキャレン・バス市長は記者会見で、夜間外出禁止令は数日前から検討していたとし、前夜に広い範囲で暴力・破壊行為が見られたのが「転換点」となって、発出を決断したと述べた。 外出禁止は午後8時から翌朝6時までで、対象地域は「1平方マイル(約2.6平方キロメートル)」の範囲に限定されると市長は説明。市内各地で「重大な被害」が出ているため、必要な措置だとした。 一方で、「この1平方マイルで起きていることは、市全体に影響を及ぼしてはいない」とし、市全域の危機ではないと強調した。 市長はまた、「明日、議員らや警察当局と相談する。(中略)数日は(夜間外出禁止令が)続くと見込んでいる」と述べた。 会見に同席したロサンゼルス市警察(LAPD)のジム・マクドネル本部長も、人命を救い、財産を守るために、夜間外出禁止令は必要だと説明。背いた人は逮捕すると強調したが、対象地域の住民やホームレス状態にある人、許可を得ているメディア関係者らは、外出禁止令が適用されないとした。 本部長はまた、夜間外出禁止令は「声を封じるためのものではない」と述べた。 本部長はさらに、「土曜日(7日)以降、違法で危険な行動がエスカレートしている」と指摘。今回の抗議デモに絡んで逮捕したのは、7日が27人、8日が40人、9日が 114人、10日は会見時点で197人だとした。 ■「社会秩序に対する本格攻撃」とトランプ氏 トランプ氏はこの日、ノースカロライナ州の米軍フォート・ブラッグ基地であった軍の集会で演説。ロサンゼルス地域での法執行を守るため、「何千人もの」州兵と海兵隊を現地に派遣したと述べた。 また、「何世代にもわたる軍の英雄たちは、私たちの国が侵略と第三世界の無法によって破壊されるのを黙って見るために、遠く離れた場所で血を流したわけではない」、「皆がいま目の当たりにしているのは、平和と社会秩序に対する本格的な攻撃だ」と訴えた。 トランプ氏は、カリフォルニア州の州兵2000人を派遣しており、さらに2000人を送り込むとしている。また、海兵隊700人も派遣するとしている。 国防総省の関係者が米CBSに話したところでは、10日までに州兵約2100人と海兵隊700人がロサンゼルスに入ったという。 ■大統領が状況を悪化させていると知事 一方、カリフォルニア州のニューサム知事は10日、テレビ演説でトランプ氏を非難。「現職大統領によるこの恥知らずの権力の乱用は、火に油を注ぐもので、私たちの住民、警官、そして州兵までも危険にさらしている」と述べた。 そして、州兵について、「国内の法執行のためではなく、海外での戦闘のために訓練されている男女だ」と説明。「私たちの街の通りが、私たちの州兵によって軍事化されてはならない。ロサンゼルスでも、カリフォルニアでもだ」と述べた。 知事はまた、一部の抗議行動が暴力的になっていると指摘。「法律を破る者たち数十人が暴力的で破壊的な行動に出た」、「器物を破壊し、警官に暴行を加えようとした」とし、「どうか平和的に行動してもらいたい」とデモ参加者らに呼びかけた。 6日から続く抗議デモの参加者らはこの日、ロサンゼルスの幹線道路101号線に入り、通行を止めた。こうした事態は過去3日間で2度目。けが人はなく、カリフォルニア・ハイウェイ・パトロールが素早く排除した。 連邦政府ビルの周辺でも混乱が見られた。多数の警官が出動し、警察車両が一部道路を閉鎖するなか、デモ参加者らはまたも混乱を引き起こした。 (英語記事 Curfew begins in LA as California governor attacks Trump for 'inflaming' protests)

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