地面師から取引持ちかけられた男性が語る詐欺の手口 物件見られず契約は民泊で…「怪しいなと思った」

いわゆる「地面師」の男らが逮捕された事件で、男らに不動産取引を持ちかけられ、購入を一時検討した男性が、その悪質な手口を語りました。 取引を持ちかけられた不動産会社役員 「すごい有名な土地なんでテンション上がりましたね。売る方も相手が釣れるし、買う方も釣られますよね」 こう話すのは、「地面師詐欺グループ」に実際に取引を持ちかけられた不動産会社役員の男性。 この男性と交渉していたのが、先週、詐欺の疑いで逮捕・送検された地面師グループの指示役とされる福田裕容疑者(52)です。 福田容疑者は去年、すでに逮捕されている粂陵平容疑者(24)と共謀し、不動産会社の代表になりすまして、会社が所有するビルを売却するとウソをつき、別の不動産会社から14億5000万円をだまし取った疑いがもたれています。 今回取材に応じた男性は、被害にあった会社とは別の不動産会社の役員で、去年1月、仲介業者から近年地価の高騰が著しい大阪・ミナミのビルの売却話を紹介されたといいます。 取引を持ちかけられた不動産会社役員 「有名物件やったんで、もしホンマに売り物だったら買う。『身内でゴタゴタしてるんで、水面下でその話を進めたい』と来たんです。そこまでは疑わなかった。とりあえず『5億5000万で売却したい』と。『うち5000万を手付金としてほしい』と。破格ですよね。欲しい物件で、しかも安い。ワケありって聞いて水面下でスピーディーに仕上げたい、という話は信ぴょう性がある」 男性はその後、福田容疑者と、元々土地の所有者だった女性の「親族」だと名乗る粂容疑者と直接会うことになりますが、交渉の場所となったのは…。 泉達也 記者 「福田容疑者は人目に付くのを嫌がり、こちらの民泊の一室で交渉を行ったということです」 さらに交渉を進めるなかで、男性は福田容疑者に不信感を募らせたといいます。 取引を持ちかけられた不動産会社役員 「条件が怪しかったんで。物件見に行ってはいけないとか、内見もできない。『なんで内見できないんですか?』と言うと、『親族の内紛とかバレたくない』というストーリーがうまくできている。そういうのを積み重ねていった結果が、ちょっとおかしいなと思った。100パーセントの答えが多すぎるんで。優秀というよりは、ちょっと怪しいなと思った」 結局、正式な契約を結ぶ前に、福田容疑者らと連絡がつかなくなり、男性はだまされていたことに気づいたということです。 取引を持ちかけられた不動産会社役員 「昔から存在する地面師なんで。どんどん手を変え、品を変えですよね」 さらに、捜査関係者などへの取材で、グループの詳しい手口が明らかになってきました。 福田容疑者らはウソの借用書を使って、不動産会社代表の女性の住民票の写しを区役所から入手。住民票の情報をもとに、女性の免許証を偽造していたといいます。また、粂容疑者はインターネットカジノで数百万円の借金を抱えていたこともわかりました。 警察は、地面師グループが金銭に困っていた粂容疑者を勧誘した可能性があるとみて、組織の実態や金の流れなどを詳しく調べています。

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