〈「盗撮さえしなければ、いい夫なんです…」妊娠中に夫が”盗撮”で逮捕→クビ、義両親からも非難され…それでも離婚しなかった“性犯罪者の家族”の悲しすぎる実情〉 から続く 「加害者家族」――罪を犯してしまった当人の親やパートナー、子どもなど血縁関係にある人たちは、欧米では「隠れた被害者」と呼ばれる。加害者家族たちは「家族だから」という理由で、社会的あるいは心理的に追い詰められることも多く、中には自死を選んでしまう人もいる。 中でも1000人超にのぼる性犯罪の加害者家族にソーシャルワーカーとして向き合ってきた斉藤章佳氏は、加害者家族の困難を理解することが、支援につながるとしている。では、実際に加害者家族はどのような暮らしをしているのか。斉藤氏の新著『 夫が痴漢で逮捕されました 』(朝日新聞出版)より一部抜粋し、お届けする。(全3回の2回目/ 前回を読む / 続きを読む ) ◆◆◆ 体育の授業中、16歳の男子高校生Cがスマホで女子生徒の着替えの様子を盗撮し、それを仲のいい同級生とのLINEグループで共有するという事件が起きた。 両親が問いただすと、Cは当初「みんなでふざけ合っていただけ」と事の重大さを理解していなかった。日頃から真面目で成績も優秀、サッカー部では主力選手として活躍する模範的な生徒だった彼が、なぜこのような加害行為に及んだのか、両親も理解できずにいた。 事態が発覚したのは、被害に遭った女子生徒のひとりが心身の不調を訴え、保健室に駆け込んだことがきっかけだった。