ミネソタ州議員ら「暗殺」事件で容疑者逮捕 「標的リスト」に70人

米中西部ミネソタ州で民主党所属の州議会議員ら4人が2カ所で銃撃され死傷した事件で、捜査当局は15日夜、逃走していたバンス・ボールター容疑者(57)を殺人などの容疑で逮捕した。最初の事件発生から約43時間後、武器を持った状態で農村地帯に隠れていた容疑者の身柄を確保した。単独犯とみて動機などの解明を進めるという。 同党のウォルズ知事は15日深夜に記者会見し、容疑者逮捕を発表した。14日の会見で事件を「政治的な動機に基づく暗殺」と呼んだウォルズ氏は、「これが『普通の状態』になってはならない。政治的な立場の違いに対処する方法であってはならない」と強調。意見が異なっても、「問題について議論し、握手を交わし、共通の基盤を見つけること」を呼びかけた。 事件は、14日午前2時ごろから3時半ごろにかけて発生した。メリッサ・ホートマン州下院議員とその夫が同州ブルックリンパークにある自宅で銃殺された。これに先立ち、ジョン・ホフマン州上院議員とその妻も、約15キロ離れた同州チャムプリンの自宅で数回銃撃された。ホフマン氏夫妻は病院に搬送されて手術を受けた。ウォルズ氏は15日の会見で、ホフマン氏の容体は回復に向かっていると説明した。 当局によると、容疑者は警察官のような服装と装備でそれぞれの自宅に侵入した。しかし、最初のホフマン氏への銃撃事件を受けて警戒にあたっていた警察官とホートマン氏の自宅を出る際に鉢合わせとなり、銃撃戦の末に徒歩で逃走した。現場に残された警察車両を模した車両には、議員らの名前が書かれた「標的リスト」が残されていた。 AP通信によると、標的リストには約70人の名前が記載されていた。州議会や連邦議会の著名な議員、人工妊娠中絶の権利を擁護している人たちや医療施設に関する情報などが含まれていたという。 当局によると、大規模な捜査活動を行う中で、容疑者の自宅近くで容疑者のものとみられる車両と帽子を発見した。周辺を警戒していたところ、警察官が容疑者とみられる人物が森の中に走っていくのを目撃し、ヘリコプターなども投入して居場所を特定。時間をかけて周辺から距離を縮め、最終的に逮捕した。容疑者は武器を持っていたものの、逮捕される際に発砲などはしなかったという。【ワシントン西田進一郎】

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