先進7か国首脳会議(G7サミット)での日米首脳会談でも引き下げの合意に至らなかった「トランプ関税」による輸入自動車への25%の追加関税だが、「しびれを切らした」とみられる自動車メーカーの中には、米国での販売価格を見直す具体的な戦略に乗り出している。 SUBARU(スバル)に次いで、三菱自動車も、米国で販売するスポーツ用多目的車(SUV)3車種を平均2.1%値上げするという。きょうの読売や日経などが報じているが「三菱自は値上げの理由を『物価上昇などに伴う通常の価格改定』としているが、米国による自動車への追加関税が影響した可能性がある」(読売)ようだ。 それによると、米国での値上げは日本から輸出している『アウトランダー』の2車種と『エクリプス クロス』が対象で、6月18日以降に販売店向けに出荷される車両から適用するという。三菱自では追加関税が発動した4月以降、車両を米国に船で運んだ上で、通関手続きを行わずに留め置く措置を取っていたが、関税発動前に輸出した車両を中心に販売してきたものの、在庫に限りが見えてきたとみられる。 三菱自動車では、1988年に当時の「ビッグスリー」のクライスラーと米国イリノイ州に合弁工場を建設して現地生産を続けてきたが、相次ぐリコール隠しや燃費不正問題などで業績が悪化したため、「聖域なき構造改革」で2016年には米工場を売却し、成長が期待できるタイなどアジア市場に生産拠点を集中させた。 ただ、米国での乗用車販売から撤退しているスズキを除くと、日本の自動車大手では唯一、現地に工場がなく、トランプ大統領就任後は追加関税の影響を受けやすい。このため、関税の影響を緩和するため「協業する日産自動車の米国工場を活用した共同生産を検討している」 (読売)という。 さらに「日米関税交渉の長期化を見据え、他メーカーも値上げに向けた検討を加速させそうだ」とも伝えているが、日本車メーカーでも現地生産と輸出の比率によって値上げにも“温度差”があるようだ。 2025年6月19日付 ●日鉄、買収手続き完了、USスチール完全子会社 (読売・1面) ●一人乗り電動車両、ホンダ量産へ、欧米向け配送用 (読売・10面) ●車整備 脱「ディーラー頼み」 民間工場もハイテク対応、故障診断の「汎用機」国が支援(読売・10面) ●米向け自動車輸出額24.7%減、5月貿易統計、トランプ関税影響 (朝日・7面) ●豊田会長報酬19.4億円、歴代役員最高額、前年度比20.2%増(朝日・7面) ●200万円台のEV日本で来年発売、BYD (毎日・6面) ●「グーネット」元部長ら、詐欺疑い逮捕(産経・18面) ●トヨタアリーナ東京、パナ製照明器具導入、FIBA認証国際大会開催可能 (東京・4面) ●日本車メーカー関税コスト吸収、米向け輸出単価、5月2割安 (日経・5面) ●ホンダ挑む宇宙の夢へ、再使用ロケット実証成功、日本勢の先頭に (日経・15面) ●三菱自、米で2.1%値上げ、港湾からの出荷再開 (日経・15面) ●ヤマハ発、レーシングカート撤退(日経・15面) ●オークネット・藤崎慎一郎社長、新車EV不振、中古価格の低さ原因(日経・15面)