「早いな清勝、初老か」 金沢アパート殺人、27日で発生17年

●まぶたに浮かぶ祭りの姿 両親「警察信じて待つ」 「早いな清勝(きよかつ)。生きていれば初老か」。金沢市久安2丁目のアパート自室で会社員橋本清勝さん=当時(22)=が殺害された事件は、未解決のまま27日で発生から17年となる。両親は今年40歳を迎える清勝さんの友人の姿を見て月日の早さを痛感する。それでも、まぶたの裏に浮かぶ息子はまだ青年のままだ。事件解決につながる有力情報が少ない中、やり場のない悲しみと怒りを抱えながら、一刻も早い逮捕を望んでいる。 久安アパート殺人事件 2008年6月27日夜、金沢市久安2丁目のアパートで、一人暮らしの橋本さんがフライパンで頭を複数回殴られて殺害された。同29日夜に部屋を訪れた女性が橋本さんを見つけ、発覚した。県警は金沢中署に捜査本部を置き、30人態勢で犯人を追っている。 「清勝は私と同じで祭りが大好きやった。今年は同級生と一緒に盛り上げてくれたと思う。なんでこんな目に遭わなければならなかったのか」。父充史(あつし)さん(59)は無念さをにじませる。 充史さんが話す祭りとは、清勝さんの実家がある加賀市山中温泉で9月に開催される「こいこい祭」。毎年、40歳を迎える地元の男性たちが祭りの中心を担い、盛り上げることになっている。 実家にある仏壇のそばには法被姿の充史さんと、誇らしげな表情で肩を組む清勝さんの写真が飾られている。初老の充史さんが祭典委員長を務めた2005年の祭りの時に撮った一枚だ。 ●「祭典委員長やりたかったと思う」 「あの子も委員長をやりたかったと思うわ」と声を絞り出すのは、母真由美さん(60)。清勝さんは自他共に認める祭り好きだったという。17年前、清勝さんのひつぎに充史さんが着ていた法被を入れ、最後の別れをしたと明かした。 清勝さんの同級生たちは結婚し、親となったが、充史さんと真由美さんには息子と同級生の姿を重ねられない。両親の時間は止まったままだ。「今を一生懸命に生きないと。前を向いて進むしかないと言い聞かせている」。真由美さんはこう口にし、言葉を詰まらせた。 仏壇には、アジサイの花が飾られ、清勝さんが大好きだった缶ビールが供えられている。「警察を信じて待つしかない。必ずいい報告をするからね」。2人は遺影を真っすぐと見詰め、石川県警の捜査の進展を願っている。

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