覚せい剤の密輸で韓国刑務所に3年服役…歌舞伎町のヤクザに愛される「名物ママの凄絶な半生」

「歌舞伎町で彼女を知らないヤクザはモグリだ」 ある指定暴力団の幹部をしてそう言わしめた特異な女性がいる。東京・歌舞伎町でバーを営む、仲河亜輝さん(36)だ。毎日のように暴力団関係者が客として訪れる“ヤクザに愛されるバー”が誕生した背景には、仲河さんの波乱万丈な人生があった。 「水商売を始めたのは16歳の頃。通っていた高校の近くにあるスナックのホステスになったんです(笑)。16歳だと本来水商売の仕事はできないんですけど、店自体がグレーだった。当時は“コギャル”ブームで、昼はギャル仲間と渋谷で遊んでいました」 10代からスナックやキャバクラで働いてお金を稼ぎ、渋谷の街を遊び歩く。そんな生活を続けていた仲河さんに転機が訪れる。 「20歳の頃、前に働いていたキャバクラの黒服から電話があって、『誰か、マレーシアで荷物を受け取ってきてくれる人はいないか』と言うんです。いわゆる運び屋の相談でした。当時の私は夜の仕事も辞めていてフラフラしていました。あまり深く考えず、マレーシアにでも行けば気晴らしになるかと思って『じゃあ私が行くよ』と返答したんです」 ’08年10月、仲河さんは成田空港のロビーで指示役である日本人男性からチケットを受け取ってマレーシアへ。到着後、成田空港で会った指示役に電話をかけ、指定されたクアラルンプールのホテルにチェックインした。初日と2日目は自由行動を許されていたため、ショッピングやクラブ遊びなどを楽しみ、滞在3日目に荷物を受け取ることになった。 ◆韓国の女子刑務所で3年間服役 「受け取り場所は、クアラルンプールにあるスタバでした。指示役からは白人の男性から荷物を受け取るよう伝えられていました。歩いてスタバに向かうと指示通り白人の大柄な男性がいて、無言のままキャリーバッグを渡されたんです。何の変哲もない普通のキャリーバッグでした。帰りは韓国で乗り継ぎをして日本に帰る予定だったのですが、韓国の仁川空港の税関でそのキャリーバッグが引っかかった。そこで初めて、バッグの中に1キロの覚せい剤が入っていると分かったんです」 その場で逮捕された仲河さんは、韓国最大級の女子刑務所である清州女子刑務所で3年間、服役することになる。面会に訪れた父母は怒ることはなく、まだ20歳だった娘の身を案じた。その優しさに、仲河さんは面会室で号泣したという。 「韓国の刑務所では、日本人だからといって差別されることはなかったです。むしろ、同房のみんなは『アキ』と下の名前で呼んでくれて、フレンドリーに接してくれました。服役中は刑務所内の工場で洋服の縫製をしていました。月に10万ウォン(日本円で約1万円)ぐらい稼いでいましたね。日本の刑務所だと月に1万円なんて絶対に貰えないですよ」 出所後、仲河さんは韓国の日本大使館が手配した航空チケットを使って日本に帰国するものの、仕事は長続きせず、やがてアルコール依存症に陥ってしまう。焼酎瓶を持ち歩きながら歌舞伎町を彷徨う日々を送っていた頃、一人の女性に拾われたことで、新たな人生が始まる。 有料版『FRIDAY GOLD』では、歌舞伎町のヤクザに愛されるバーが生まれた経緯や、店で発生したトラブルなどについて仲河さんが語った内容を掲載している。

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