ごねる尹前大統領、特検チームの警察官に「資格」難癖…強制捜査自ら招くか

尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領が特検に出頭したものの、取り調べ担当者の交代を求めて取り調べを拒否したため、5時間あまりの取り調べの末に帰宅した。チョ・ウンソク特別検察官チームは、尹前大統領に30日に改めて出頭するよう通告したが、尹前大統領側に延期を要請され、7月1日に調査日を延期した。尹前大統領側は特検による捜査の段階でもごね続けているが、強制捜査の大義名分を強める結果を招くだろうとの分析も示されている。 尹前大統領は28日、ソウル瑞草洞(ソチョドン)のソウル高等検察庁に出頭。取り調べは午前10時14分から始まった。しかし、昼食後の午後1時30分に取り調べを再開しようとすると、尹前大統領が「取り調べは受けない」とごねはじめたという。警察庁の国家捜査本部非常戒厳特別捜査団で、尹前大統領による逮捕状執行阻止(特殊公務執行妨害および職権乱用)容疑と盗聴防止機能付き電話の情報の削除を指示した容疑(大統領警護法の職権乱用教唆)を捜査していた警察庁重大犯罪捜査課のパク・チャンファン課長(総警=日本の警視正に相当)が午前中に被疑者尋問をおこなったが、午後になってパク課長の資格を問題視しはじめたのだ。尹前大統領側は、今年1月の警察による「違法な大統領の逮捕状の執行」現場にパク総警がいたことを指摘しつつ、自分たちは現場の警察官を告発したのだから被告発人であるパク総警は尹前大統領を取り調べてはならないと主張した。裁判所が発行した逮捕状の執行を違法と規定したうえで、それを阻止したのは犯罪ではない、というこれまでの詭弁(きべん)と似たような論理だ。特検チームは、パク総警は1回目の逮捕状の執行現場にはいなかったし、2回目の執行の際にはキム・ソンフン前大統領警護処次長の逮捕のために現場にいたに過ぎないと反論したが、尹前大統領は3時間も待機室にとどまり、取り調べを拒否した。結局、特検チームは逮捕状執行阻止容疑の取り調べを中断し、検事を投入して国務会議での議決と外患罪に関する取り調べに移らなければならなかった。尹前大統領は、今年1月15日に逮捕されたもののソウル拘置所にとどまることで高位公職者犯罪捜査処による取り調べを拒否する、というやり方を再演したのだ。 特検チームは30日午前9時に2度目の出頭を要求したが、尹前大統領側は「容疑者の健康および現在進行中の裁判の防御権の保障を考慮すると、近すぎる」として、7月3日以降に(日程を)調整するよう求めた。特検チームは結局、尹前大統領の2度目の出頭日を7月1日午前9時に設定し直した。特検チームは、尹前大統領が12・3非常戒厳宣布の直前の国務会議で国務委員に対して職権を乱用した疑いが強まったとして、尹前大統領の取り調べを続ける計画だ。 「民主社会のための弁護士会(民弁)」検警改革小委員会の委員長を務めるイ・チャンミン弁護士は、「合理的な理由がないにもかかわらず(取り調べ担当者の)忌避申し立てを認めるのは、特恵と解釈されうる」とし、「一般人だったら拘束捜査が行われていた可能性が高い」と指摘した。ある現職の部長検事も「尹前大統領側としては強制捜査は避けたいので、応じないでもなく限度内でごねつつ、特検が無理な捜査をしているという印象を対外的に与えようとしているようだ」とし、「ごね続ければ特検側も強制捜査を考えるだろう」と語った。 キム・ジウン、クァク・チンサン記者 (お問い合わせ [email protected] )

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