尹前大統領の逮捕状審査始まる 本人が出席=きょう夜にも結論

【ソウル聯合ニュース】昨年12月の韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領による「非常戒厳」宣言を巡り、尹氏の逮捕状を出すかどうかの令状審査が9日午後、ソウル中央地裁で始まった。非常戒厳宣言について政府から独立して捜査する特別検察官が請求した5件の容疑を巡り、特別検察官側と尹氏側が激しく対立するとみられる。 審査には尹氏が弁護士と共に出席した。 双方の立場が大きく食い違うため、審査には時間がかかるとみられる。 特別検察官側は尹氏が昨年12月3日、非常戒厳を宣言する前に開いた閣議に一部の閣僚だけを招集し、閣僚9人の戒厳審議権の行使を妨害したと判断している。 非常戒厳宣言後に自身と韓悳洙(ハン・ドクス)前首相、金龍顕(キム・ヨンヒョン)前国防部長官が署名した虚偽の戒厳宣布文を作成し、大統領記録物であり公用文書であるこの文書を破棄した容疑も適用した。 また、非常戒厳に関する虚偽事実が盛り込まれた文書を海外メディアに送るよう指示した容疑をはじめ、軍司令官らの盗聴防止用携帯電話の通話記録を削除するよう指示したほか、大統領警護処に捜査機関「高位公職者犯罪捜査処」による自身の拘束令状の執行を阻止するよう指示した容疑も適用した。 特別検察官は「国民から与えられた信任を裏切る行為であり、法治主義と司法秩序を破壊する重大な犯罪」として、身柄の拘束が不可避だと主張している。一部の容疑は証拠隠滅にあたり、大統領警護処の前次長らの供述が尹氏の弁護士の介入で覆されたため、関係者を懐柔した可能性が高いとみている。 尹氏側は容疑を全面的に否認している。閣議の緊急性を考慮し、早く到着できる閣僚に連絡しただけだと主張し、非常戒厳宣言後に宣布文の作成も指示していないとしている。また、内乱罪の捜査権がない高位公職者犯罪捜査処が拘束令状の発付を受けたこと自体が違法のため、執行を阻止したことは問題ではなく、阻止を指示したこともないと主張している。 令状審査が終わると、尹氏はソウル拘置所(京畿道義王市)で結果を待つ。結果は9日夜か10日未明に出るとみられる。 地裁が逮捕状を発付すれば、尹氏は再び拘置所に収監される。尹氏は内乱首謀などの容疑で1月19日に逮捕されたが、身柄の拘束は不当とする尹氏側の主張を地裁が認め、3月8日に釈放された。

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