中国でスパイ活動を行ったとして北京市の第2中級人民法院(地裁)から懲役3年6月の実刑判決を受けたアステラス製薬の60代の日本人男性社員が、上訴しない意向を示していることが19日、日中関係筋への取材で判明した。中国の裁判は2審制で、今月下旬が上訴期限になっている。 男性は同社の現地法人で幹部を務めたベテラン駐在員。2023年3月、帰国直前に拘束され、同年10月に正式に逮捕された。その後、24年8月にスパイ罪で起訴され、今月16日に判決が出ていた。判決は男性が中国の内部情報を外国の機関に渡したと認定する内容だった。 在中国日本大使館によると、男性は上訴について当初「弁護士と相談する」と話していた。男性の意向が最終的なものかどうかは不明だが、「懲役3年6月」は中国のスパイ罪に対する量刑としては軽いとされることも判断の材料になっているとみられる。 日本政府は男性の早期釈放を引き続き中国側に求めていく方針。【北京・畠山哲郎】