元迷惑系YouTuberのへずまりゅう氏が、奈良市議会議員選挙(定数39)で55人中3位となる8320票を獲得し、当選を果たした。ネットメディア研究家の城戸譲さんは「2021年、23年の選挙では『泡沫候補』扱いであり、惨敗だった。今回は3つの要素がへずま氏にプラスに働いた」という――。 ■元迷惑系「へずまりゅう」が奈良市議選で3位当選 参院選における「参政党の躍進」が話題の中、同日に行われた奈良市議会議員選挙の結果がネットユーザーに衝撃を与えている。かつて「迷惑系YouTuber」として活動していた、へずまりゅう氏が3位で当選したのだ。SNS上では「世も末だ」といった反応も出ている。 筆者はネットメディア編集者として、へずま氏による数々の「迷惑行為」を報じてきた。その立場からすると、個人的には当選はあり得た展開だと感じている。そこで今回は、「へずまりゅう氏が当選した理由」について考えたい。 ■「鹿を守る」で奈良に移住 へずま氏は2025年7月20日に行われた奈良市議選で、8320票を獲得し、当選した。定数39に対して、55人が立候補する選挙で、参政党候補(1万985票)、維新候補(8780票)に続く、3位当選だった。ちなみに4位は約7000票、5位は5000票台ということを考えると、上位候補の“強さ”が際立つ。 今回の奈良市議選において、へずま氏は「外国人から鹿さんと市民を守る」をキャッチフレーズに掲げた。2024年夏ごろから、奈良公園を拠点にして「鹿パトロール」を実施。外国人観光客らが、奈良公園の鹿を虐待しているとして、その様子を動画でSNS投稿する活動を行っていた。2025年1月には奈良への移住を発表し、今回の出馬へと至った。 そして当選となったのだが、SNS上では賛否両論が出ている。どちらかと言えば、「世も末」「民度の低下」といった、“否”の方が強い印象を受ける。というのも、YouTuber時代を引き合いに出し、「人間の本質は変わらない」と感じるネットユーザーが多いからだ。 へずま氏が行った“迷惑行為”で、一番有名なのは2020年、スーパーマーケット店内で、会計前の刺身を食べたこと。前後して、衣料品店に返品を要求する動画も投稿され、窃盗や威力業務妨害の疑いで逮捕された。2022年3月に有罪が確定している。